岩波少年文庫は創刊60年

1950年といえば戦争が終わってまだ5年、「未曾有の崩壊を経て、まだ立ちなおらない今日の日本」(発刊のことばより)で、ずさんな翻訳や粗雑な製本が横行する中、岩波少年文庫が登場しました。少年文庫の編集主任として岩波書店に入社した石井桃子さんが、「私が読んで楽しめる本」を選び、美しい装丁をほどこした5冊の本を手にした当時の子どもたちの喜びは、どれほどのものだったでしょう。60年後の私たちには想像することすら難しいかもしれませんが、幸いなことに、同じ本を読んで喜びを味わうことはできるのです。装丁を変え、時には訳を変えて、生き続けてきた世界の児童文学の宝庫に手を伸ばしてみませんか。

小学校中学年くらいから

「文庫は字が多いし、ボリュームもあるから無理」なんて考えないでくださいね。絵本をたっぷり読んでもらい、幼年童話にも親しんで来た子なら、きっと大丈夫。読んであげるのは大変ですが、ぜひチャレンジしてみてください。

点数は多くはありませんが、選び抜かれた作品ばかりです。

小学校高学年くらいから

このカテゴリの作品はたくさんあるので、選び放題です。高学年で、これらの作品に出会えるなんて幸せです。

中学生くらいから

何かと忙しい中学生。自分で読む本は自分で選ぶようになっているでしょう。しかも、周囲ではライトノベルや、若い感性の日本人作家など、比較的「読みやすくて、今の空気を感じる」作品が待っています。

ここで紹介するような作品は、古典やロングセラーが多く、取っつきにくいかもしれません。でも、物語の持つ力は今も十分通用するものです。ぜひ、これら人類の遺産に触れさせてほしいと思います。もちろん、大人が読んでも面白いので、ぜひどうぞ。

小人の冒険シリーズ

編み棒や安全ピン、鉛筆など、たくさん買っているはずなのに、使おうとすると見つからない―そんなことはありませんか。もしそうなら、そのおうちには「借り暮らしの人たち」がいるのかもしれません。

イギリスの、ある古い家の床下に、「借り暮らしの人たち」―身長は15センチほどの小人の一家が住んでいました。小人の少女アリエッティが、その家の男の子に姿を〈見られ〉てしまったことから、スリルに満ちた事件がつぎつぎと起こります。

各話のあらすじ

1 床下の小人たち
イギリスの古い家の床下に、小人の一家が住んでいました。彼らにとって、人間と関係をもつことは絶対にしてはならないことです。けれど、小人の少女アリエッティは、床下の暮らしにあきあきして、外の世界にあこがれ、その家の男の子と知り合いになります。
2 野に出た小人たち
床下にひっそりと暮らしていた小人たちは、人間に見つかったことで、野原に脱出します。アリエッティは明るい日光や、野イチゴつみを楽しみ、野育ちの小人スピラーと友だちになります。しかし、人間からはなれてくらす戸外の生活は、容易ではありませんでした。
3 川をくだる小人たち
小人スピラーの助けで、小人の一家は森番の小屋にたどりつき、いとこの家族と再会します。が、ここも安住の地ではありませんでした。下水管を通って外へ出た一家は、やかんにのって川をくだりますが、新しい旅には大きな危険がまちかまえていました。
4 空をとぶ小人たち
川をはさんで、心やさしいポットさんの村と、見物客めあてのプラター氏の村、2つの模型の村がありました。小人の一家は、ポットさんの家で楽しく暮らすも、プラター氏に誘拐されてしまいます。小人たちは、ゴム風船で気球をつくり、脱出を試みます。
5 小人たちの新しい家
劇的な脱出をはたした一家はふたたび川をくだり、ようやく静かな古い牧師館にたどりつきました。今度こそ、そこは一家にとって安心して暮らせるすみかになるのでしょうか。小人の冒険シリーズ最終巻。

ナルニア国ものがたり

ディズニーによる映画化で、一躍脚光を浴びることになった「ナルニア」ですが、日本では40年も前から、読み継がれてきたロングセラーのファンタジーです。

7つの物語は独立していますが、全体として「ナルニア」の誕生から滅亡までを描いた壮大な年代記となっています。

(2006年3月 佐々木隆行)

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