岩波少年文庫 018

エーミールと探偵たち


エーミールと探偵たち:冒頭の10枚の絵からエーミールの説明
  • 岩波少年文庫018エーミールと探偵たち/ケストナー
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商品の説明

主人公のエーミールがいい奴なんです。自宅の居間で美容室を開いているお母さんと二人暮らしなんですが、お母さんが自分のために一生懸命働いていることをよくわかっていて、「いい子」になろうと決心したんです。いい子と言っても、大人しい優等生じゃない。銅像にちょびひげを描くようないたずらだってするけど、お母さんを喜ばせるために学校で一番の成績を取るような子なんです。

さて物語は、エーミールがベルリンにいるおばあさんを訪ねるところから始まります。お母さんはおばあさんへの仕送りをエーミールに持たせます。彼はその仕送りを貯めるのにお母さんがどれだけ苦労したかを知っているので、なくさないよう細心の注意をはらいます。ところが、列車の中でちょっと眠ったすきに盗まれてしまいます。列車はもうベルリン市内に入っていて、犯人らしき男が次の駅で降りるのを見つけると、エーミールもあわてて後を追いかけます。勝手のわからない大都会で、無一文の少年の追跡が始まります。果たして彼はお金を取り戻すことができるのでしょうか?

まえがきは正直長いです(なんたって題が「話はぜんぜんはじまらない」ですから)。次の「ここに取り出したるは十枚の絵」では、エーミールや汽車の個室、ベルリンに住むクラクション少年など、この物語を構成する人や場所が10枚の絵(このトリアーさんの絵がいい)と短い文章で紹介されます。ここを読んでいるうちに、物語の雰囲気がなんとなく伝わってきて、映画の予告編のように「どんな話なんだろう?」という期待が高まってきます。そうなったらもう準備オーケー。いよいよ話が始まります。だから、最初だけはちょっと我慢してくださいね。

実はこの本、次男が四年生の時、読み聞かせの途中で待ちきれなくなって、自力で最後まで読み切ってしまった本なんです。それほど本好きでなかった彼にとって、そんなことは初めてで、私も驚いたのですが、次の日が待ち切れないほど面白かったんですね(取り残された私も一気に読み終えました)。80年以上前(1928年)に発表された物語が、今も色あせず子どもたちをワクワクドキドキさせているなんて驚きです。

この本が子どもたちにもてはやされたわけは、ひとつには、ベルリンの下町に住む子どもたちの姿が実に生き生きと描かれているからでしょう。出てくる子どもたちが、ふだん使うような言葉をそのまましゃべっていることは、今から見れば当たり前のことですが、当時の子どもの本としては珍しいことでした。それから、この本にはユーモアがあふれています。ケストナーはドイツ人には珍しいユーモアの才の持ち主です。もうひとつ、子どもたちが理性的に振る舞い、大人をリードしている点がなんといってもユニークです。(中略)十九世紀の子どもの本では、道理を教え子どもを導いているのは大人でしたが、ケストナーはそれをひっくり返しているわけです。(野村泫「ドイツの子どもの本」より)

とあるように、当時はずいぶん画期的な本だったんですね。

おばあちゃんをたずねる列車の中で、大切なお金を盗られてしまったエーミール。ベルリンの街を舞台に、少年たちが知恵をしぼって協力し、犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます。(裏表紙より)

(スタッフ佐々木)

商品詳細

年齢: 小学4・5年〜
作: エーリヒ・ケストナー
訳: 池田香代子
さし絵: ヴァルター・トリアー
寸法: 17.5×12cm
内容: 230p
製作: 岩波書店 (日本)
初版発行日: 2000年6月
原著: Emil und die Detektive (1929)

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