岩波少年文庫512

波紋


  • 岩波少年文庫 波紋
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商品の説明

5歳の「わたし」が戦争中、大伯父が司祭を務める由緒ある僧院へ行くところから始まります。

「おごそかな壁に守られ、(中略)慈愛にはぐくまれて、本の匂いと庭のかおりにひたっているうちに(中略)静寂と、美と、経験と、そして孤独とで形づくられ」た穏やかな日々の中でも、独特の感受性と激しい気性の「わたし」は美しい百合の花をずたずたにし、きらいな女の子にジプシーの魔法をためします。さらには「聖なる泉」と呼ばれる水盤の「水の静けさ、平然と動じないさま」さえ挑発と感じて石を投げ込みますが、水面に広がる波紋の美しさにみとれ、それでも動じない水に敗北を感じて泣くのです!

戦争が終わって町の自宅に戻ってからの風変わりな祖父との短い暮らしと別れや両親との確執、寄宿学校での友達や憧れの先生との交流なども美しくきらめくような描写で綴られます。私は「銀の匙」や「幼なものがたり」を思い出しました。

てっきり自伝かと思っていたら、実在の僧院など作者の体験をちりばめてはいるものの創作だそうです。また、作者はナチスに抵抗して死刑判決まで受けた人だとあとがきにあります。

「わたし」や彼女の友だちの言動には難解なところがあって全てには寄り添えないかもしれませんが、不思議な魅力にあふれた一冊、中高生以上の方に丸ごと味わってもらえたらと思います。手元に置いて読み返したい、文字通り珠玉の作品です。(あとがきも必読!)

(コプタ通信2017年9月号より つきちゃんこと築山真希子)

商品詳細

作: ルイーゼ・リンザー
訳: 上田 真而子
寸法: 17×12cm
内容: 300ページ
製作: 岩波書店 (日本)
初版発行日: 2000年06月16日

商品の仕様(色、材質、形状、パッケージなど)は予告なく変更することがあります。

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