麻生知子

略歴

1982年に埼玉県所沢市生まれ。東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を卒業。高校生の頃に画家を志し、4年間の浪人生活を経て大学に進学、3年次からは版表現も学んでいます。

2006年頃から油絵の制作と発表を開始し、2008年または2009年からは友人の画家、武内明子氏とともにアートプロジェクト「ワタリドリ計画」を始めました。このプロジェクトは、渡り鳥のように作品の題材と展示場所を求めて日本全国を旅し、その土地・展示会場ならではの作品を制作・発表する活動です。これまでに、全国約30カ所とカナダでも旅と展覧会を行っています。ワタリドリ計画の活動の一環として、旅先で撮影したモノクロ写真に油絵具で手彩色を施した「旅の絵はがき」なども共同制作しています。

個展としては、銀座の村越画廊で複数回開催しています。

  • 2014年 「麻生知子展 大人、小人展」
  • 2015年 「おしながき」
  • 2017年 「くらしの眺め」

グループ展への参加も多岐にわたります。

  • 2009年、2012年 VOCA展(上野の森美術館)
  • 2014年 おいしいアート展(横須賀美術館)
  • 2018年 画廊の夜会 麻生知子・田中千智・野間祥子 三人展「おいしいものばかり」(村越画廊)
  • 2019年 「Go-somewhere!」(在カナダ日本大使館・オタワ)
  • 2020年 AM倉敷 vol.16 麻生知子・武内明子 ワタリドリ計画ー絵から旅する 大原⇔岡山ー(大原美術館・岡山)
  • 2021年 MOTサテライト2020 ハイファイブ−こころのこえ(東京都現代美術館)
  • 2023年 東美アートフェア 麻生知子 田中千智 二人展「私たちの世界」(東京美術倶楽部)

受賞歴としては、2012年に「ART AWARD NEXT Vol.2」審査員賞、2017年に第53回神奈川県美術展大賞を受賞しています。神奈川県美術展での受賞作は油彩作品《浴場》で、泡やシャワーの水などを絵具を厚塗りすることで「化ける」ように描き、その計算された構図は美術評論家からモンドリアンに例えられました。

画家としての活動に加え、絵本作家としても活動しています。福音館書店から、上から見た視点と横から見た視点を描いた『うえからみたり よこからみたり』(「こどものとも年少版」2018年9月号)、食べ物に焦点を当てた『うえからみたり よこからみたり たべものいっぱい』(「こどものとも年少版」2024年6月号)、こたつを囲む家族を描いた『こたつ』(2020年刊行)、夏休みを描いた『なつやすみ』(2023年刊行) などを刊行しています。また、『こたつ』と『なつやすみ』は産経児童出版文化賞美術賞を受賞しています。小学館からは『レストランふろ』を刊行しています。

絵画作品以外に、陶作品も制作しています。また、夫の須藤一實氏とともに、神奈川県藤沢市の自宅敷地内で「山内龍雄芸術館」を運営しています。

日々の思い出や生活の中にあるもの、特に温泉と食べ物を好きなモチーフとして描くことが多いです。作品制作では、見たものをそのまま描写するのではなく、絵具自体が質感を持つように描くこと や、具体的なモチーフを描く際も抽象画を描くように形や色を配置し心地よいリズムを生み出すこと、そして記憶の中の一番「らしい」姿を忠実に再現すること を大切にしています。特に学生時代から真上から見た構図をよく用い、観る人が絵の中の世界を実際に体験しているかのように感じられることを目指しています。

麻生知子さんの絵本作品

タイトル 出版社 発行時期 備考
『うえからみたり よこからみたり』 福音館書店 「こどものとも年少版」2018年9月号 最初の絵本。様々な物の、上から見た姿と横から見た姿を描いた絵本です。
こたつ 福音館書店 2020年11月15日 こたつを真上から定点観測したようなユニークな構図で、ある家族の冬の一日を描いた作品です。絵本に使用された原画はキャンバスに油絵具で描かれています。『なつやすみ』に登場する家族と同じ家族が登場します。産経児童出版文化賞美術賞受賞。
なつやすみ 福音館書店 2023年6月10日 『こたつ』に続く作品で、夏休みの一日を描いています。家の中だけでなく、プールや神社など外の世界も描かれています。絵本に登場する家族(こうたくん、お父さん、お母さん、おばあちゃん、猫のクロ)は『こたつ』と同じ家族です。夜店の場面は観音開きで、50以上の夜店と300人近くの人が描かれています。原画は油絵具で描かれ、層の重なりが意識されています。産経児童出版文化賞美術賞受賞。
『レストランふろ』 小学館 2023年10月20日 お風呂と食べ物を組み合わせたユニークな世界観を描いた作品です。主人公はこうたくんです。麻生さんが特に好きな「食べ放題と温泉」が結びついた世界が描かれています。真上から見たり真横から見たりするユニークな視点が使われています。 第15回ようちえん絵本大賞受賞。
『うえからみたり よこからみたり たべものいっぱい』 福音館書店 「こどものとも年少版」2024年6月号 『うえからみたり よこからみたり』の続編で、食べ物に焦点を当て、上から見た姿と横から見た姿を描いた作品です。原画は油絵具で描かれています。様々な食べ物がおいしそうに描かれています。
りょこう 福音館書店 2025年5月15日 絵本『こたつ』『なつやすみ』に続く新作です。こうたくんとおじいちゃんの泊りがけ旅行を描いた作品です。温泉の湯けむりや夕食のお膳などが描かれています。

麻生知子さんは、絵本作品においても、画家としての特徴である真上からの構図をよく用い、特に好きなモチーフである温泉と食べ物が多く登場します。

  • こたつ/麻生知子
  • 1,300円+税(10%税込1,430円)
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  • なつやすみ/麻生知子
  • 1,500円+税(10%税込1,650円)
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  • りょこう/麻生知子
  • 1,500円+税(10%税込1,650円)
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