岩波ジュニア新書 566

財政のしくみがわかる本


財政のしくみがわかる本:私が最も感銘を受けたのがこのグラフ。租税や社会保障の負担率が国別に示されている。日本はアメリカに次いで「小さな政府」。
  • 財政のしくみがわかる本/神野直彦
  • 780円+税(8%税込842円)
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「消費税増税で財政は甦る」のか?

私がこの本を手に取った理由は、江川紹子さんの次の文章を読んだからです。

(前略)「財政とは何か」という根本から説き起こし、財政赤字、地方分権の現状、格差社会の背景などの諸課題を、財政との関係で説明しています。

財政というと専門用語や数字が続きそうですが、大丈夫。たとえば、こんな感じです。

「日本でいま起こっている問題は、(中略)金もうけをしてもいい領域と金もうけをしてはいけない領域との区分がわからなくなっていることです」

その例として、北海道夕張市がどんな風に「金もうけをしてもいい領域」と「金もうけをしてはいけない領域」を誤って財政破綻し、どんな影響が出ているのかを明らかにします。

また、「小さい政府」を標榜するアメリカ以上に、日本は「所得再分配機能」の小さい政府になっているという指摘には、昨今の様々な社会問題の原点はここにあったのかと、眼を開かれるような思いがしました。

(「大人のためのジュニア新書案内」江川紹子より)

読んでみると、実に読みやすく書かれているのですが、知らないことだらけで、いかに自分が国の財政の仕組みに無知であったかを思い知らされました。「税金は安い方がいい」なんて思っていましたが、もし税金がなくなったら、警察や消防がなくなったり、年金や医療保険がなくなったり、道路や下水道がなくなったりで、社会は機能しなくなってしまいます。つまり、どこから集めて、何に使うのかが大事というわけですね。

ただ、それを議論するためには、新しい「望ましい設計図」を考えなければなりません。ちょうど今、消費税増税の話が持ち上がっていますが、「貧しい人々の生活を国民がおたがいに支えあうわけでもないのに、貧しい人々にも高い税負担を求めることはできません。日本はどのような社会をめざすのかを明らかにしたうえで、税金のあり方を考えていかないと、社会は混乱するばかりです。」という本書の指摘の通り、その場しのぎの対症療法ではなく、社会的・経済的な危機を解消するために財政が有効に機能するような新しい設計図が求められているのです。その設計図の中で、税金や社会保障の形も見えてくるのではないでしょうか。

それを考えるためには、財政全体の基礎知識が必要です。たとえば、税をかける理由やかけ方の考え方、租税にはどんな種類があるのか、それらの税率は累進的なのか、所得に対する租税負担率は、他の先進諸国に比べてどうなのか…。この本を読んでテレビを見ていると、「消費税増税分を福祉目的に限定する」ってホントにいいの?とか、消費税の税率だけ取り出して他国と比べることに意味があるの?、といった疑問がわいてくるようになりました。そんな広い視点を持てることが、この本の良さだと思います。

自治体の財政赤字がふくらみ、国の借金も世界最高になっている。なぜ、赤字になったり、借金が増えるのだろう?国や自治体の予算はどのように決まるのだろう? 税金の体系はどうなっているのだろう? それらの疑問に答えながら、財政のしくみと今かかえている問題を解説し、地域のニーズを実現する財政のあり方を考える。(裏表紙より)

目次

1 財政って何だろう
「財政」ということば/江戸時代に共同の財布はあったか/財政が成り立つ条件/など
2 予算って何だろう
予算は一つでなければならない/決算はかならず黒字になる/予算編成のしくみ/など
3 税はどんなしくみになっているのだろう
租税を成立させる三要素/なぜ税を課することができるのか/複税制度/など
4 どんなところにお金を使っているのだろう
戦前の使い道・戦後の使い道/何を買っているのだろう/ニーズとウォンツ/など
5 借金はどうなっているのだろう
財政は家計に近い/誰から借金をしているのだろう/国の借金と自治体の借金/など
6 国と自治体の関係
補完性の原理/財政の決定権をもたない自治体/機関委任事務/など
7 いま財政がかかえる問題
社会的危機と財政の関係/格差社会をもたらしているもの/など
8 財政の未来像をえがく
地域で共同の意思決定をする/財政を民主主義の手にゆだねる/など

商品詳細

年齢: 高校生〜
著: 神野直彦
寸法: 17.5×10.5cm
内容: 198p
製作: 岩波書店 (日本)
初版発行日: 2007年6月

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