希望のことば 明日への言葉

未来の余白から


  • 未来の余白から/最上敏樹
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素晴らしい本に出会いました。月刊誌「婦人之友」の連載から生まれた1冊です。

児童文学者の清水眞砂子さんが「人の心をとがらせるのではなく、やわらげ、時空をこえて他者の抱擁へと向かわせる知のありようが、ここにはある。」と帯に書いています。

著者は国際法学者の最上敏樹さん。映画、音楽、歴史、文学・・・様々なジャンルから紡がれる厳選された24篇+書き下ろし1篇を加えた初めてのエッセイ集です。

本文より

人を殺すことによって自分の「平和」を獲得するか、それとも人を殺さぬことによって自分も殺されぬ秩序を求めていくか。

そこで長い歴史的展望に立った選択をすることによってこそ、私たちは「すべての人に対する希望」を保つことができる。そして、それがある限り意気消沈する必要はない。

寛容さと冷静さを持ち合わせた視点がとても面白く、ちゃんと自分の中に、この言葉たちの居場所を作らなければと、途中何度も本を置いて、ゆっくりゆっくり心に浸透していくのを待ちました。

いったい世界はどうなってしまうんだろう、と悲観的になる事件が最近多い気がします。

世界各地で続発するテロ事件、(テロとは性質が異なりますが)日本でも2016年に相模原市の知的障害者施設が襲われるという悲しい出来事がありました。

自分と異なる他者と共に生きることを拒絶する「不寛容さ」が社会全体を支配しているように感じます。

ふとすると自分自身も、感情的な怒りや悲しみの波にのみこまれそうな瞬間があります。

けれども、著者は言います。悲しみと怒りに身を任せてはいけないと。

こういった感情に身をまかせることは、不寛容な正義の感覚に転化するから、と。

意気消沈してはいけない、確かな希望のメッセージを受取り、この本の言葉が私の中で生きている限り大丈夫だ、と思いました。

この不寛容な時代、皆さんの明日への希望の1冊にもなりますように。

                   (コプタ通信2019年3月号より 留野羊子)

本文より

そもそも知性とはなんだろうか。

まずそれは、たんに「多くを知っている」ことではない。それは知性ではなく知識である。また、たんに「頭の回転が速い」ことでもない。それは知性ではなく知能である。問題は知識や知能を善き目的に使えるかどうか、それをどれほど他者への敬意と共感をこめて行えるか、ではないだろうか。

(中略)

いつの頃からか、この日本でも、この日本でも右の意味での反知性主義がずいぶんはびこるようになった。気に入らないものは何でも非国民とか売国奴とか、およそ品位にかけるレッテルを貼る。ものごとの因果関係などお構いなしに社会の不調を外国人のせいにし、ヘイとスピーチをがなり立てる。突きつめて考える姿勢もなければ、他者と共に生きる英知を探る姿勢もない。

ここしばらくの、政府によるごり押し政治についても、ほんとうに怖いのはそういう反知性主義だとぼくは思う。ナチスの手法にならうべきだと言った政治家がいた。沖縄の基地周辺住民は好き好んで住み、巨額の地代を手にしているといった、事実に基づかぬことを放言した作家もいた。多くの法律家が違憲と判断する武力行使法案に反対する若者たちに対し、利己主義だという単純な避難を投げつけた政治家もいた。

どれも目を覆うほど乱暴で空虚な言葉のつぶてである。違憲の法案が成立するのも問題だが、そのついでに反知性主義が取り返しがつかぬほど定着したりせぬよう、よくよく目を覚ましていなければならない。

(本文「反知性主義について」の中の「ほんとうに怖いもの」より)

この文章にあるようにレッテルを貼られて苦しむ人って意外に多いのではないでしょうか。思えば私も最初からレッテル貼ってきて対話もできない反知性主義の人に随分傷つけられてきたと、この文章に出会いしみじみ思いました。

もちろん、一歩間違えば、自分もレッテル張りをする側になる可能性もあります。「反知性主義」がはびこる世の中にはしたくないという気持ちは持続して行かなくてはいけません。

                     (コプタ通信2019年5月号より 柿田友広)

商品詳細

著: 最上敏樹
寸法: 19×13cm
内容: 237ページ
製作: 婦人之友社
初版発行日: 1018年12月05日

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