戦火をくぐりぬけたある家族の物語

ヒナゲシの野原で


  • ヒナゲシの野原で/マイケルモーパーゴ・マイケルフォアマン
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商品の説明

赤いヒナゲシが何百万本も咲き乱れる、ベルギー北西部のフランダース。11歳の少年マルテンスは、祖父から繰り返しヒナゲシ畑と家族の歴史の物語を聞きます。

第一次大戦下、子どもだった曾祖母のマリーが野戦病院で一人の兵士と出会い、埋葬されたばかりの彼の友人にヒナゲシを手向けたこと。その兵士が投げ捨てた「紙っきれ」をもらって帰り、そこに書かれた詩の習作に心打たれた一家が、それを大事に額に入れて戦争を生き抜いたこと。成長したマリーが、ある青年との出会いで「紙っきれ」の詩が有名になっていることを知り、後にその青年と結婚して祖父が生まれたこと…。

やがて家族の物語はマルテンスの誕生へとつながっていきます。彼の父がヒナゲシ畑をたがやしに出かけて不発弾の爆発で命を落として以来、マルテンスも彼の母もヒナゲシ畑に入ったことがありませんでしたが、ある日、彼は勇気をふるい起こしてヒナゲシ畑を歩こうと心に誓うのでした。

続くあとがきでは、実際の出来事として、有名になった「紙っきれ」の詩の作者や、詩をきっかけに、赤いヒナゲシを身につけて戦没者を追悼するよう呼びかけた女性、そのヒナゲシの造花づくりを担うことで傷病退役軍人や戦没者の遺族が救済されるよう働きかけた女性などが紹介され、もう一つの物語のようになっています。

静かな筆致で淡々と語られる二つの物語は、身の回りの平和な景色の向こうに過去の戦争を重ねてみることをそっと促してくれます。不思議な明るさをたたえていて日々のニュースに疲弊している心が慰められました。モノトーンに赤だけを入れた挿絵も印象的です。今、出会えてよかったと思う作品でした。心をこめてご紹介します。届きますように。

(コプタ通信2022年7月号より つきちゃんこと築山真希子)

真っ赤なヒナゲシの花がゆれるフランダースの野。のどかな風景のこの場所は、第一次世界大戦時、激戦地になったところだ。今も、不発弾や兵士の持ち物が見つかる。近くに住むマルテンス一家には、代々伝わる宝物があった。それは詩が記された一枚の紙きれ。第一次世界大戦に従軍した兵士が書き、戦後、世界中で有名になった詩だ。なぜこの詩がマルテンスの一家に伝わることになったのかを語りながら、戦争と人々のかかわりを描く物語。あとがきでは、「ヒナゲシの花」が戦後、戦没者追悼の象徴となった経緯が述べられている。

(出版社サイトより)

商品詳細

作: マイケル・モーパーゴ
絵: マイケル・フォアマン
訳: 佐藤見果夢
製作: 評論社 (日本)
初版発行日: 2021年08月

商品の仕様(色、材質、形状、パッケージなど)は予告なく変更することがあります。

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