ウルブリヒト

上品なくるみ割り人形。オーナメントもあります。（ザイフェン）

ろくろ職人だったオットー・ウルブリヒト Otto Ulbricht は、1928年に独立して、1934年に新しい工場を建設します。マックス・シャンツ Max Schanz がデザインし、彼が作った聖歌隊 Kurrende は、1937年に開かれたパリの万博で金メダルを受賞する代表作となりました。第２次大戦後、ザイフェンは東ドイツ領となり、家族経営がほとんどのおもちゃ生産者達は、社会主義体制のもとで、国営となりました。オットーは、家族とともに国境を越えて、西ドイツに移り、アウグスブルクの近くで再開します。

1968年にオットーが亡くなり、息子のクリスチアンが伝統を引き継ぎます。東西ドイツが統合され、1990年代の初めからは、オットーが昔始めた工場に戻り、２ヶ所で生産を行っています。

主力のくるみ割り人形のほかにも、けむり出し人形、オーナメントなどの工芸品を手がけています。

（2005年11月　佐々木）

くるみ割り人形

オーナメント

歴史

エルツ山地の豊富な銀鉱脈は、その地名の基となったばかりでなく、ウルブリヒト家のような代々鉱夫であった家庭にも生活の糧をもたらしてくれました。しかしながら、その鉱山業にだんだん陰りが見えてくると新しい生活手段の獲得を迫られることとなり、やがて多くの鉱夫達は木彫師や木地師として起業することになりました。

1928年、クリスチャティアン・ウルブリヒトの父オットーも「Otto Ulbricht-Werksta¨tten fu¨r feine Holzarbeiten und Spielwaren （オットー・ウルブリヒト-素敵な木工芸品と玩具の工房）」という会社をSeiffen（ザイフェン）に設立。その卓越した経営力と独創的作品群の制作により発展し、1936年のパリ万博では出展作品の『子供部屋の時計』と『聖歌隊』が金賞を授与される程になりました。

しかし、第二次大戦の敗戦とその後の共産勢力による財産収奪により、ザイフェンでの生産は終焉を迎えることとなり、オットー・ウルブリヒトは家族を連れて当時の西ドイツに逃れざるを得ませんでした。彼はドナウ川のほとりに近いLauingen（ラウインゲン）の町に会社を再建し、その後、1968年に息子のChristian Ulbricht（クリスチアン・ウルブリヒト）が後継者となるまでその経営を続けました。クリスチアンは、その後東西ドイツが再統一されると、ザイフェンにあった父の会社の買い戻しに成功し、繊細な木工芸術を旧故郷ではあるが、同時に新故郷ともいえるザイフェンでも制作するようになりました。

ウルビリヒト家の家族とそのスタッフたちは多くの情熱と勤勉さを傾けながら、大人にも子供にも同様に喜びをもたらすこの伝統的木工芸術を創作しています。その木のどの小さな破片を手にとっても、そこにクリスマス精神が息づいてることに気付かれることでしょう。

（本国サイトより）