ものぐさトミー


  • ものぐさトミー/P・デュポア
  • 880円+税(8%税込950円)
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絵の感じからして、どうしてもひと昔か、あるいはもっと前の本かと思えば、日本で出たのは1977年とある。とすると、この四半世紀の間にいかに急速に世の中が変化したかということだろう。これって、鉄腕アトムの胸に真空管が入っているって知った時の感覚と似ている。(21世紀生まれのロボットに真空管はないよなぁ)けれども、テーマは自動化されていく事の方にあるのではなく、それに頼る人間の怠け癖の方にあるから、この本はちっとも古くならない。ちょうど『パパラギ』がいつまでも新鮮なのと同じだろう。

主人公のトミー・ナマケンボ(この名字の日本語訳が絶妙)は自動化された家に住んでいる。起きるのも、お風呂に入るのも、歯を磨くのも、服を着るのも、食べるのも、みんな機械がしてくれる。ただ一つトミーがしなければならない労働は階段を上ること(考えてみると、どうしてこれは自動化されないのか笑える)。ところが、ある夜かみなりがなり電気がこなくなり、七日たってまた電気がくると…。電気歯ブラシに足の裏をこすられ「くすぐったくて、くすぐったくて、トミーは、まるでひきつけをおこしたように笑」う。ここは話のおかしさの頂点だが、「なまけん坊の罰があたったのさ」と読者の方は主人公にあくまでも冷酷になってしまう。そういう風に物語をすすめていくところが作者の才能だろう。でも、所詮、誰でも自分に心当たりがある話。最後まで駄洒落を言ってすましているのがいい。

さて、この本のシリーズ「岩波の子どもの本」には、少しでも安く絵本の名作を子どもに届けたいという戦後の文化人の「良心」をみる思いがする。

柿田友広

商品詳細

文・絵: ペーン・デュボア
訳: 松岡享子
製作: 岩波書店
初版発行日: 1977年6月24日

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