13枚のピンぼけ写真


  • 13枚のピンぼけ写真/キアラカルミナーティ・関口英子
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商品の説明

15歳の少女イオランダは、妹を北イタリアの村に残して両親や兄とともにオーストリアで仕事をしていましたが、第一次世界大戦が始まり、オーストリアとイタリアが敵対したため故郷へ戻ることになりました。

父や兄たちの出征後、イオランダたちは裕福な家の洗濯などをして生計を立てます。ところが母がしつこく言い寄ってくる軍人を拒絶したところ、親オーストリアの疑いをかけられ、収容所へ送られてしまいました。残されたイオランダと妹は、母が会いに行くように言い残した見知らぬ女性を頼って、別の村へ向かいます。そして「アデーレおばさん」と呼ばれるその女性から、母の生い立ちや父との結婚の顛末、母と生家との確執などを聞きます。その後祖母とも対面しますが、直後に迫りくるオーストリア軍から逃げることに…。

語り手はイオランダ自身。爆撃で怪我をしたり敵軍の占領を経験したりするなど、過酷な戦時下の物語ではあるのですが、一方では幼なじみの男の子サンドロへのなかなか素直になれない恋心や、幼いのに本質をつかんだ名言を連発する妹の描写などがユーモラスに語られ、明るさを失わないところが好印象です。また妹を筆頭に、頼りになる村の司祭さまやサンドロ、アデーレおばさんなどキャラの立った登場人物たちもいい味出しています。明るい未来を感じさせる結末も満足です。

物語の節目には写真のイラストがあります。ピンぼけ、という設定なので添えられた説明を読まないと何についての写真なのかわかりませんが、この写真は物語とリンクしていて、なかなか重要な役割を果たしています。ちゃんと説明を読んでくださいね。どうぞお見逃しなく。

あまり馴染みのないイタリアやオーストリアが舞台の作品ですが、この作品をきっかけに当時の社会情勢などに興味がわき、世界史にくわしい娘にレクチャーしてもらって色々腑に落ちました。教科書で学んだことが肉付けされて立ち上がってくるような感覚に久々にわくわくしました。

わりと正統派の児童文学、子どもも大人もお楽しみください。

(コプタ通信2022年10月号より つきちゃんこと築山真希子)

第一次世界大戦時の北イタリア。父と兄たちが戦場へいったあと、13歳のイオランダと妹は、母親とも離ればなれになってしまう。戦争が激しくなるなか、家族の秘密を知った姉妹は、祖母を探す危険な旅を決意する……。もつれた家族の糸をほぐし、生きる力をつかみとっていく少女の感動の物語。ストレーガ賞児童書部門受賞作。

(出版社サイトより)

商品詳細

作: キアラ・カルミナーティ
訳: 関口 英子
絵: 古山 拓
内容: 238ページ
製作: 岩波書店 (日本)
初版発行日: 2022年03月17日

商品の仕様(色、材質、形状、パッケージなど)は予告なく変更することがあります。

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