エルツ山地の伝統と北独の厳格さの融合 ロッテ・ジーバース=ハーン社

ドイツの代表的な木彫り

北ドイツにあるロッテ・ジーバース=ハーン社は、今年設立75周年を迎えました。創始者ロッテ夫人は、エルツ山地の伝統芸術を基礎に、品格と温かみを兼ね備えた独自の世界を作り上げました。彼女が亡くなった今も、熟練した職人たちの手彫りによって、昔と変わらない作品が生まれます。ドイツの頑固なモノづくりの典型と言えるかもしれません。それだけに愛好家も多く、何代にもわたって少しずつ買い足したり、プレゼントとしても大変喜ばれているそうです。

ハーン夫人の生涯

北ドイツ(ニーダーザクセン州)出身のロッテ・ハーンは父親と一緒に、ヨーロッパの中でも最も伝統豊かな民芸の地、エルツ山地を20年かけて遍歴し、ある嵐の日、グリューンハイニヒェンという街に立ち寄った。彼女はそこでおもちゃの専門学校に辿り着いた。優美な品々の並ぶ光景やその雰囲気にひどく感動した彼女は、自分がこれから習得するべき職業が何かをこの時知ったのである。

彼女はまず職業訓練を受ける資格を勝ち取らなければならなかった。それまではザクセン州に住む男性の志願者だけが受け入れられていたからだ。200人の男子生徒と3人だけの女子生徒の中で、彼女はスケッチやろくろ細工、彫刻や裁縫、紙細工といった訓練課程を見事に3年で修了した。

リューネブルガー・ハイデにある実家へ帰ると、1929年に彫刻工芸のための自分の工房を開いた。ハンブルクのおもちゃ屋で作品を販売することに成功し、1933年に結婚する頃には4人の仕事仲間がいるようになった。(中略)

こうして、彼女はエルツ山地の造形美と北ドイツの厳格さを結び合わせ、これらが共鳴する中に彼女の工芸様式を見つけた。彼女に彫刻とスケッチを指導したザイファート教授は、感心しながらこう断言した。「彼女はひたすら素直に仕事をこなす。」

キリスト降誕の情景を模した飾りであるクリッペは、エルツ山地の民芸において中心的な題材の一つである。(中略)彼女はクリッペを組み立てるようにして人形のセットを作った。彼女のデザインした人形や動物たちは、どれも愉快で特徴的である。1987年に亡くなるまでずっと、彼女にとって最も大切なのは彫刻であった。しかし、彼女は絶えず絵も描きつづけ、いつも手元には全てを生産するのは不可能なほどのスケッチがあった。(後略)

「アーティストがつくる子どものための人形(ドイツ語版)より」


リューネブルガー・ハイデ(リューネブルク原野)は、ドイツ最初の自然保護地区。8〜9月になると、ハイデ(ヒース、ラテン語でエリカ)の花が咲き誇る。が、1年のほとんどは茶褐色に枯れ、荒涼とした風景が広がるという。この厳しくも美しい原野の風景と、ハーン夫人の厳格なたたずまいのデザインは、決して無関係ではないだろう。

http://www.lueneburg.de/


アーティストがつくる子どものための人形(ドイツ語版)

童話・その他の木彫り

格調の高いハーン社の手彫りのミニチュアシリーズ。一片の木片から切り出す大変手間のかかる手法です。

抱き人形

創始者ロッテ夫人は、エルツ山地の伝統工芸術を基礎に、品格と温かみを兼ね備えた独自の世界を作り上げました。今も、熟練した職人さんたちの手彫りによって、何年も前から同じ名前の同じ顔の人形たちが作られ続けています。洋服はドイツの民族衣装などにも使われる木綿の型染め布です。ハーンのコレクターは欧米にたくさんいます。

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