ペーターという名のオオカミ

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新聞記者の父の仕事の都合で、ドイツに７歳の時から住んでいる14歳の少年リオ（山本亮）は、急な帰国が決まり、自分に何も相談してくれなかった父親とけんかをして、元担任の小林先生の下宿にころがりこんだ。同じ頃、“オオカミセンター”から11頭のオオカミが逃げ出した。

リオは偶然、逃げ出した一匹の子オオカミと出会う。そんな折り、ドイツに来たばかりの日本人の少年アキラと出会い、追っ手から逃れつつ、オオカミをふるさとの森へ帰すために奔走することになる。

同時進行の時間の流れに、リオ、オオカミ、さらに暗い過去を背負ったマックスなど、様々な人に視点をおいた物語が複数絡み合いながら展開していく。後半に向けて、テンポアップする物語にどんどん引き込まれていく。読後は爽やかな達成感で満たされる。

（「コプタ通信」2004年7月号、榛地裕子）