じっぽ

台風で洪水になった翌日、学校からの帰り道で、太郎は泥にまみれた不思議な生き物を拾いました。レインコートに包んで家に持って帰り、お風呂場で洗ってやりました。泥の中から姿を現したものは、頭のてっぺんがへこんでいて、背中に甲羅が付いています。これって、かっぱ？！「きゅるる」となくかっぱは、どうやらお腹が空いているらしい。太郎はあれこれ試してみるけれど、どれをやっても食べません。突然、かっぱらしき生き物はすばやくお風呂場からでると、玄関にある水槽の中に飛び込んでお母さんが大切に飼っている熱帯魚のグッピーをパクパク食べてしまいました。好物は生の魚らしい。太郎はかっぱに「じっぽ」という名前をつけて、部屋でこっそり飼うことにしました。言葉も覚えて、「たろ、たろ」と自分の事を呼んでくれるじっぽは弟のようにかわいい存在に思えます。でも、実際に飼ってみると食いしん坊のかっぱのお世話はなかなか大変です。ちょっと重荷になりかけた頃、色々あってじっぽは大学の研究室に連れて行かれることになりました。じっぽの事が気になる太郎はお父さんに、「かっぱの研究ってなにをするの？」と聞いてみました。すると、返ってきた返事は「解剖だな…。」さあ、大変です。じっぽのどうなってしまうのでしょうか。太郎はじっぽを助けることができるでしょうか。