岩波少年文庫004

グレイ・ラビットのおはなし

商品の説明

森のはずれの小さい家に住む、うぬぼれやの野ウサギのヘアといばりやのリスのスキレルと、心やさしいグレイ・ラビット。

最初のお話ではイタチに連れ去られたヘアとスキレルをラビットが救出し、助けてもらった２匹は心を入れ替えます。その時に知恵を借りた代償にラビットは大事なしっぽをカシコイ・フクロウにあげたのですが、２番めの話でそのしっぽを返してもらいます。これには仲良しのモグラが大活躍。他にもヘアが遠出をしてキツネから逃げる大冒険をする話と人間につかまったハリネズミの坊やを助ける話の４編。いずれも動物たちの特徴をよく活かした、いかにも森の中で繰り広げられていそうなかわいらしい物語です。

挿し絵も味わいがあります。また「シラカバの皮で作った銀色のくつ」「黄金色のプリムローズ酒」「とてもやさしく、とてもかすかな、うたうようないいね(ねし)」のベルなど、色彩豊かできれいな表現が散りばめられた文章は、読んだ人の心の深いところに届きます。作者と訳者、両者の素晴らしい感性に敬服です。幼い子にはこんな美しい言葉をたくさん贈りたいものです。自分で読むなら３年生くらいから。

（コプタ通信2016年11月号より　つきちゃんこと築山真希子）