ぼくらの民主主義なんだぜ


  • ぼくらの民主主義なんだぜ/高橋源一郎
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民主主義のこと、原発のこと、従軍慰安婦のこと…などリアルタイムにこれだけのことを潤いのある文章で言える人を私はそう多く知らない。

新聞の連載でも読んでいたが、やはり本として読んだ方がより自分の考えが整理できて良かった。

「民主主義」とは、たくさんの、異なった意見や感覚や習慣を持った人たちが、一つの場所で一緒にやっていくためのシステムのことだ。だから、ものすごく小さな場所(たったふたりだけ)から、ものすごく大きな場所(世界全体)まで、それぞれに違った「民主主義」があるはずだ。ぼくたちはひとりで生きていくことはできない。でも、他人と生きることはとても難しい。だから、「民主主義」はいつも困難で、いつも危険と隣り合わせなものだ。だれでも使える、誰にでもわかる、「民主主義」なんてものは存在しない。

(あとがきより)

震災と原発事故は、この国の民主主義の重大な欠陥を炙りだしたと、著者は言う。

…原子力発電の行方のような、ぼくたちの運命に関わる事柄を一握りの「原子力ムラ」の住人に委ねられていたこと(『スローな民主主義』丸山仁)など、文学者らしく、様々な文献から日本や世界の問題を浮き彫りにしつつも、しっかりした見地からそれらの事象を読み取り、迷いの中にいる我々読者をぎりぎり地平に立たせ、平常心に戻してくれる。

たとへばこんなことも。

3月18日、台湾の立法院(議会)は数百の「中台サービス貿易協定」に反対の学生によって占拠された。占拠が20日を過ぎ披露が限界に達した頃立法院議長から魅力的な妥協案が提示された。その時「幹部だけで決めるのは納得できない」と手をあげる学生。リーダーは1日かけて占拠に参加した学生の意見を訊いて回った。その後、リーダーは正式に妥協案を受け入れたが、その学生は「撤退の方針は個人的には受け入れ難いです。でも、ぼくの意見を聞いてくれたことを、感謝します。ありがとう。」といった。(同P194)

「民主主義」は「もうライバルが残っていない」ほど優れた制度でありながら、今きわめて危うい状態にある。―かつては「共産主義」が「民主主義の敵」であった。「敵」は「外」にいたのだ。だが、いまでは「敵」は「自らの内」にある。排外的なナショナリズムの熱を受けて「外国人・移民」が「敵」になる。あるいは、平等を求めて生まれたはずの「民主主義」の下で、格差が増大し、そのことに人々は奇妙なほど無頓着だ¬(雑誌『アステイオン』77号)―と。…ほんとうに、これ以上の制度が考えられないのならのなら、おれたちは「これ」をなんとか使えるものにする努力をしなきゃならないのかもしれん。 (同p111)

(コプタ通信2015年9 月号より 柿田)

商品詳細

年齢: 高校生〜大人
文: 高橋源一郎
寸法: 17×11cm
内容: 256p
製作: 朝日新聞出版

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