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その7 エルツ山地の素朴な工場

今回は2004年に訪問したエルツ山地の小さな村にあるおもちゃ工場『ジーナ社』のお話です。
 
今年の保育セミナーで講師としてお呼びするドイツ・デュシマ社々長ルル・シフラーさんは1990年、東西ドイツ統一の際、旧東ドイツ・ノイハウゼン村のジーナ社を訪ねます。そして、おもちゃ作りについてお互いの夢を語りあい、手をとりあって共に歩むことを誓いあいます。今では、多くのデュシマ社の製品はこのジーナ社の工場で作られています。

2004年2月。ジーナ社のあるノイハウゼン村まで、滞在していたザイフェン村から雪深いなか、車で移動。この村はくるみ割り人形博物館や、エルツ地方の伝統工芸品を作る大きな工房がいくつかあり、昔からおもちゃ作りがさかんな村でした。

現社長ザイドラーさんにジーナ社を案内していただきました。工場は広い敷地内に作られ、ショールーム兼ショップには地元の人も買いにくることがあるそうです。


 
楽しみにしていた工場見学で、印象に残る光景が二つあります。
一つめは、「デュシマ寄木(村寄木かも?)」の袋詰め作業。
二人の女性が(会議室で使われているような)テーブルの上に置かれた箱ー約20個ーの中から、パーツを数個づつ手にとり、チラッとみて(検品??)は袋にいれる、という作業をされていました。箱にはパーツのイラストと数字が書かれており、その通りに袋に入れるというもの。たった二人での作業、しかも割合のんびりとしている。いったい一日何袋つめられるのでしょうか?決められたパーツ数はきちんと入っているのかしら??そりゃ時々写真と数量が違う時があるけど・・こういうことか・・と納得。
 

そしてもう一つ。同じく「ミニ積木」シリーズの「馬とくるま」にはいっている茶色の棒の検品風景。
ドイツでは作業がきちんと分担されていて、専門的に決められた仕事をこなすことが多いのです。塗装の吹き付け専門、穴開け専門などで、茶色棒検品担当は年配の男性です。木箱の中に茶色棒を数十本いれ、長さ、ひび割れ、塗装不良等を目視確認。時々、長さや太さの違う棒を見つけると別の箱にポイっといれます。なんともまあ、アナログの作業。しかもここも一人きり。やれどもやれども茶色棒は減らず・・・そりゃ時々、サイズの違う棒が入ってることもあるけど、目で確認していたんだね・・と納得。

実はこれらの積み木に入っている動物たちのルーツは、ザイフェンの伝統的なライフェンドレーエン(ろくろ挽き工法)にあります。エルツの工芸品が大好きな私にとっては、このアナログさ加減もふくめて、愛すべきおもちゃ達です。

(治井)

エルツ山地の工芸品
http://www.hyakuchomori.co.jp/life/kogei/erzgebirge/erzgebirge_top.html