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ドイツ・工芸品の旅 その2「くるみ割り人形の父の工房」

2004年2月ドイツ東部エルツ地方のザイフェン村に「くるみ割り人形の父」と呼ばれているFriedrich Fuechtnerの工房を訪問しました。現在は6代目さんがマイスターとして甥子さんと共にくるみ割り人形や煙り出し人形、天使と鉱夫人形を作製されています。

Friedrichは1870年に当時ドレスデンで人気だった絵本「くるみ割り王とあわれなラインホルト」に描かれていた絵を元にエルツ地方で初めてくるみ割り人形を立体的に作製したマイスターで『くるみ割り人形の父』と呼ばれています。

あこがれの工房におじゃました私達を、6代目マイスターさんが「今、あなたたちがまたいだその敷居をFriedrichもまたぎましたよ」と迎えてくれ(ミーハー気分で)感激!なんと100年以上同じ場所で増築しつつ工房は営まれていたのです。雪の中約一時間かけて歩いた甲斐があったというものです。

人形の元になった絵本「くるみ割り王とあわれなラインホルト」(創英社/三省堂書店・訳おおたにみな)には当時ニュルンベルグで売られていたザイフェン村のおもちゃが描かれています。この絵本もまた私のお気に入りの一冊です。1851年、フランクフルトの精神科医ハインリヒ・ホフマンが息子の為に書いたこの絵本の中の王さまはとてもかわいいとは言えない顔つきです。やはり税の取り立てに厳しいお方は民衆にとって嫌な存在だったのでしょう。ちょっと皮肉まじりに登場させているところがおもしろいです。

(治井紀子)

くるみ割り人形
http://www.hyakuchomori.co.jp/life/kogei/erzgebirge/pages/nussknacker_top.shtml

ハインリヒ・ホフマンの絵本
http://www.hyakuchomori.co.jp/book/h_hoffmann/h_hoffmann_top.html