HAGS(ハグズ)の遊具について正規代理店(株)アネビーの方に訊く

はじめに

スウェーデンにあるHAGS(ハグズ)社は名実共に世界一の外遊具メーカーです。百町森はもう20年近く前、つまり百町森が始まってすぐの頃からHAGSの遊具とお付き合いしてきました。子どもの遊びに真剣に取り組むというHAGS社の創立当時からのポリシー、そしてその優れた品質と安全性に惚れたわけです。そして、その考えは今も変わっていません。
今回、HAGSの正規輸入代理店である(株)アネビーの横山さんにお話を聞くことができました。「あまりうまく説明できないかも」と謙遜しながらも、予備知識の少ない私の数々の質問に、丁寧かつわかりやすく答えてくれた横山さん。お話を伺いながら、HAGSへの信頼と愛情、そしてHAGSを売っていることへの誇りが言葉の端々に感じられました。横山さんの熱っぽい語り口は、おもちゃや絵本について語る柿田や相沢のそれにも似ていて、外遊びをこんなに真剣に考えている人がいるんだと嬉しくなってしまいました。こんな営業の方がいらっしゃること自体、HAGSのすごさを物語っています。
お話を伺って、「子どもの事を真剣に考えたものづくり」という至極当たり前でいながら、経済活動優先で後回しにされてしまっている感のある理念を、HAGSは50年前から誠実に実行してきたのだな、そこが他のメーカーが一朝一夕には真似できないところであり、名実共に世界一になった所以なのだなと実感しました。では、はじまりはじまり・・・。

(聞き手・文責 佐々木隆行)

1.横山さんのプロフィール



この仕事についたきっかけはなんだったんですか?

大学時代、2年上の先輩がこの会社にいまして、遊具を据え付ける現場の仕事のアルバイトをしたのがきっかけなんです。そこでは、ゼネコンや下請けの施工業者に対して、指示を出す現場監督的な仕事を任されていました。その時、現場を任されて仕切ったり、現場の人とコミュニケーションする面白さと、遊具そのものを組み立てるパズル的な面白さを知ったんですね。遊具を組み立てるには、ユニット同士の取り合いなども考慮して、組み立てる順番を考えないとうまくできなかったりするんですよ。そして、卒業するときに、今すぐに役に立てる仕事を考えた結果、これまで身につけた現場の経験をそのまま生かせるこの会社に思ったんです。

会社に入ってからはどんな仕事を?

入社するときは、現場の人間が足りなかったので3年は現場をやれと言われていたんですが、実際には1年で営業に行きました。3年間営業をやる中で、外部の設計事務所に外注していた遊具の設計図面作成を社内でやるべきと考えて、自分で図面を書いてお客さんに提案するようになりました。

HAGSの設計の免許(HAGSの社内資格)も取得して、お客さんの予算と敷地条件に合わせて設計するようになったら、受注がそれまでよりも増えてきたんです。この設計作業をより効率的に行うために、CADと専門のオペレータを導入することを提案しました。その導入から、CADとパーツの拾いや積算を結びつけるためのデータベースの作成や社内LANの構築などに1年半携わりました。そして、バブルのあおりを受け、再び営業に駆り出されて、百町森さんの担当になったという訳です。

アネビーはどんな会社なんですか?

社員は16人で、HAGSの正規輸入代理店としての仕事が全てです。途中で会社の名前は変わっていますが、28年前からずっとHAGSを扱ってきています。
*HAGSの本社があるところがスウェーデンのアネビー地方です。

2.遊具の現状について



日本国内にはどんな遊具メーカーがあるんですか?

まず、公園向けには全国的に売っている比較的大きなメーカーが数社あります。それから、鉄パイプを溶接する技術を持っている金属メーカー系列の下請け会社、あとは家具屋やベンチを作っているところなどでしょうか。幼稚園や保育園の場合は、出入りの業者のカタログに掲載されている商品から選ぶことが多いようです。それらは、主に体育用の器具を作っているメーカーです。

いただいた資料を見てびっくりしたんですが、日本では遊具に関する事故が数多く報道されているのに、メーカー側は自社製品で発生した事故を把握していないし、把握しようともしていなかったみたいですね。

国内では、先ほど説明したように、中小の工場で作って、ただ納めるだけというのが現状です。安全基準もないのでどうしようもないんですね。そして、事故があっても行政訴訟などで責任が問われなければ、関係者の中で話が止まってしまうので、メーカーまで事故の話が届くことはめったにないんですね。

ヨーロッパにおける遊具の安全基準はどうなっているんですか?

ヨーロッパ規格は、EN1176-1177と称されています。大まかに言うとEN1176は商品として納入する遊具本体に関する規格で、EN1177はそれ以外の設置場所とか環境に関する規格です。EN規格は、ドイツ規格のDIN7926をベースにしていて、HAGSは1977年からこの規格に積極的に参加し、EN規格の準備委員会にも参加しています。

ウレタンで覆われたブランコ

事故は、さまざまな要素が複合して起こります。ただ、転んだだけなら大事故にはなりませんが、その場所がブランコのそばだと、ブランコが頭に当たって怪我をするかもしれません。でも、そのブランコの材質が、比較的柔らかいものであれば、事故の程度は小さくなるかもしれません。こういったそれぞれの要素をできるだけ安全側に持っていくことが、大きな事故を防ぐという考えなのです。日本ではよくブランコの周囲に柵を作ったりしますが、そのほとんどはブランコの着地領域内にあって逆に危険です。EN1177では安全のための走り込み防止面積が定められ、この中には障害物や子どもの動線がないように、遊具を設置するよう定められています。

国内では遊具による痛ましい事故が何度も起こっています。海外、特にドイツや北欧では、遊具に関する事故の状況はどうなんですか?

多分、各国で1年に何万件という単位で事故は発生していると思われます。ただし、これらの事故の報告は全て行政やメーカー、市民が把握していて、様々な局面で生かされています。事故のカテゴリーとしては、子どもの落下によるものが非常に多いです。つまり、遊具本体よりも設置場所の地面の状態の問題です。地面を砂場にしておくと大きな事故を起こりにくくすることができます。遊具本体の規格では、1m以下なら柵はいらないが、3m以上は落下しないようにしなくてはいけないと定められています。日本においては、ご存じの通り事故の事例そのものが把握できていませんが、遊具本体に起因するものから、設置場所に起因するものなど、ありとあらゆるカテゴリーの事故が発生していると考えられます。

「箱ブランコ裁判を考える会」のホームページで、週刊金曜日に掲載された記事『「安全」ブランコに殺される』を読んだのですが、行政側が揃って「遊び方の問題」と利用者(子どもと保護者)に責任をなすりつけていますね。

これは、最近新聞沙汰にもなったリコール隠しにもつながる日本人の体質でもありますが、一人の社会人であるよりも会社人であることを優先してしまうんですね。役所も事故として扱いたくないので、事故にあった利用者に責任を押しつけてしまうわけです。その時に「あなたは本来の使い方をしなかったから事故に会ったんです(だからあなたのせいだ)。」という言葉は非常に都合がいいわけですね。いったい誰のために仕事をしているんでしょうね。そこで遊ぶ子どものためでなく、保身のために仕事をしているとしか思えません。HAGSの考え方としては、「本来の使い方」というものはなく、子どもはどう遊ぶかわからないので、どう使っても最悪の事態にならないように作っています。例えば、子どもの手の届かないようなところのボルトにも、安全キャップをはめています。

また、利用者側や遊具メーカー側の「安全を追求するとつまらなくなる。だから多少危険な方がいいんだ。」というニュアンスにも違和感を感じます。どうも「危険」の意味をはき違えている気がするんですが。

危険には2種類あります。子ども達の能力を刺激し高めるような挑戦する相手としての危険=「リスク」と、子ども達が予期しない落とし穴としての危険=「ハザード」です。自然環境には、リスクもありますが、ハザードもあります。HAGSは、自然を補完するのが遊具だと考えていますが、ハザードをなくして安全性を高めています。そういう意味では、「整備された自然」とも言えます。子ども達は、ハザードのない遊び場で、リスクについて安全に学ぶわけです。その中で、子ども達がどんな能力を身に付けていくべきかを考えた上で、子ども達が自発的に楽しく遊びながら、挑戦したくなるようなリスクをいかに設定していくかが、メーカーの課題です。日本の遊具は、リスクもありますがハザードがあまりにもたくさん隠れています。逆に、アメリカでは、ハザードを恐れるあまり、リスクまでなくなってしまって、極端な話「滑らない滑り台」が出来てしまいます。これはもはや遊具ではありません。

日本でもいよいよ遊具の安全基準の作成作業が始まったようですが、展望はどうでしょう?

これはとても大切なことですが、ヨーロッパでは安全基準を固定したものでなく、日々改善してよりよくしていくものだと考えています。事故の事例を隠さずに何万件も押さえているのも、問題点を把握して対策を取っていくためなんです。事故を隠していては、設置する側もメーカーも、問題があることすら把握できないわけです。さらに、1つの事例から、他の事故の可能性を推測していくことも必要です。しかし、日本の場合、先ほどから申し上げているように、子どもよりも保身を優先する土壌がありますから、安全基準が子どものためではなく行政やメーカーの保身のために使われて、「基準さえ守っていればいい」ということにならないよう願っています。作成作業その物については、関わっている業界団体が、子どものためでなく自社の損にならないような論理で動いているため、何も決められず全て先送りになってしまっています。例えば手すりなどの間隔は、ENなどで定められた寸法があるのですが、いざ彼らが検討すると、それぞれ自社製品の仕様がありますから、それに縛られてしまうわけです。誰のための安全基準なのかという基本理念が忘れられています。非常に先行きは不透明ですね。しかし、建設省がやると言ったわけですから、間違いなくやるでしょう。

安全基準ができたとしても、それさえ守っていれば子どもの安全が守られるというわけではないんですね。

それが、安全に関する基準の難しいところです。例えば、材料に関する基準なら、その時点の最先端のデータを駆使して基準を作れば、かなりの間変更の必要はありません。しかし、安全に関しては、これまでの事故の事例などを研究して、様々な可能性を推測した上で決めるわけです。ですから、その推測が正しかったのかどうか、事故が起こるたびに見直しを迫られるわけです。そのため、基準作成に関わるメンバーから設置現場の管理者まで、日々遊び環境の改善を考えながら、基準そのものを見直す態度が要求されるわけです。ヨーロッパの各国が年間万単位の事故の事例を記録・保管しているのは、問題を見つけだし有効な対策を取るためだと言っていいでしょう。

建設省の報告書の中では、遊具に対象年齢の表示がないことを重視しているようでした。子どもは表示を見ないと思うのですが、表示は大切なことなんですか?

対象年齢の表示は子どもを見守る親のために必要なことです。大きな子向けの遊具に、幼児が入り込むことは非常に危険です。それは、保護者が責任を持って見ている必要があります。公園では、その遊具を使う権利と同時に、使い分ける責任があるわけです。ヨーロッパでは、乳幼児を遊ばせるときに、必ず保護者が見守っています。

国内の遊具の状況をどう思われますか?

日本では、明治以来の教育で「学ぶ=善、遊ぶ=悪」が常識となってきました。同様に、企業においても「儲かることが善」とされ、子どもにとって良い遊び環境とは何かという視点はありませんでした。そんな中で非常に貧しい外遊びの環境しか提供できていないと思います。また、幼稚園や保育園の園庭においても、こどもの日々の遊びが充実することよりも、1年に1日しかない運動会を重視するために、広い園庭の隅っこに遊具が追いやられています。

自然の地形を生かす

HAGSは、子ども達が日々遊ぶための最も良い場所は自然であり、自然があれば遊具はいらないとさえ考えています。その自然が少ない環境でそれを補うのが遊具ということです。私は営業をしながら、よく園長さんに言うんです。「運動会はあきらめて下さい。園庭の真ん中に木を植えて、遊具を置けば、園庭は良くなるし、子ども達が喜々としてきます。1年に1日の運動会よりも、毎日の子ども達が生き生きと遊べる園庭にしませんか。」ってね。日本には遊具の安全基準がありません。そして、何よりも「遊び」の大切さへの理解がありません。我慢とか訓練とか忍耐ではなくて、子どもが興味を持って主体的に遊ぶ中で、どんな能力を育てていけばいいのか。ちょっとしたつまづきでコケてしまうような大人にならないために、どんな外遊びが必要なのか、という視点がありません。だから、幼児用の滑り台の階段を「楽に」登れるようになだらかにしてしまうんです。

つかんで登る

HAGSのユニミニは、傾斜を急にして、手すりもなくしました。将来、大人になるために必要な能力を育てる環境として、あえてそうしたんです。ただし、階段の踏み板は、つかんでも怪我をしないように万全の配慮をしてあります。こうすることで、子どもの成長を促し、やがてはこの手すりのない階段を手放しで登れるようになるんです。良い遊具は、こうした能力の発達を促しますし、その一方で、どこまでやると危ないかという感覚も身についてきます。

スリルのある空中ケーブル

ある園では、私が見ていてハラハラするようなことも平気でやっていましたが、子ども達は「落ちないギリギリのところ」を知っているんですね。その園には空中ケーブルがあって、2階くらいの高さから滑るような、非常に高い場所での遊びなんですが、子ども達は大変楽しんでいます。下の年齢の子はやらせてもらえないんですが、「いつかやりたいなぁ」と思いながら、年上の子の遊んでいる様子を見ているうちに、彼らの体の動かし方とかがわかってしまうんですね。だから、いざ自分がやる番になったときには、「やったことはないけど何度も見てわかっている」という状態で、やりこなせるわけです。また、その園では、新しい遊具が入ったときに、やってはいけないこと(例えば上から飛び降りてはいけないなど)を最低限決めて子ども達に伝えるようにして、あとは子ども達に自由にやらせているんです。そうすると、遊んでいるうちに子ども達の間で約束事のようなものが自然に出来てくるようですね。これは、小さい子には無理とか、ここまでやると遊びがつまらなくなるとか。そうやって、やっていいことと悪いこと、自分に出来ることと出来ないことといった感覚を身につけていくわけです。

3.HAGSの遊具について



勉強不足で申し訳ないんですが、HAGSの遊具の特長を教えて下さい。

息が合わないと遊べない
サンドパイプ

HAGSは遊具の分野で、様々なオリジナルを作り出してきました。もともと、園庭や公園にぽつんぽつんと配置されていた滑り台・鉄棒・ブランコといった遊具を、合体させたのはHAGSです。コンビネーション遊具と呼んでいますが、合体させることによって、子ども達の遊びをより発展させることができたのです。HAGSは、子どもにとって大切な遊びをどう提供するかに心を砕いています。自然の野山が子どもにとっては一番の遊び環境であり、それがあるならHAGSの遊具を置く必要はないとまで言っています。ですから、園庭の中にそういった環境があれば、それを補う−補完する遊具を提供しようという考え方なのです。ですから、遊具の色も自然と融合するような色使いをしています。赤・黒・青といった自然に溶け合わない色使いを好むメーカーもありますが、HAGSの考えとは全く異なります。また、HAGSの遊具は一人だけでも遊べますが、誰かと一緒でないと遊べないものもたくさんあります。お店屋さんや、キッチン、バルコニー、サンドパイプやクレーンヘッドなど友達がいて初めてできる遊びを意図的に盛り込んで、コミュニケーションを促すようにもしています。

スプリング遊具

動物や車などの形をしたスプリング遊具もHAGSがオリジナルに開発したものです。大人が乗っても、バネの間で指が挟まれないようスプリングメーカーと共同開発しました。今では、他のメーカーも同じ様な遊具を作っていますが。さらに、ヨーロッパの安全規格EN1176-1177や、そのベースとなったドイツ規格DIN7926の作成作業に積極的に関わり、試験方法を決めるためのサンプルとしてHAGSの製品が使われました。

世界をマーケットにしているそうですが、何カ国で使われているんですか?

スウェーデン国内では、80%のシェアを持っているので、法律でこれ以上は売ってはいけないことになっています。そのため、輸出に力を入れるようになり、今では22カ国に輸出しています。技術的にも販売的にも世界一のメーカーです。

世界および日本国内での競合相手はどこですか?

ヨーロッパでは、コンパン(デンマーク)、ラプセット(フィンランド)、ABC(ドイツ)などがあります。コンパンは、幼稚園・保育園向けの遊具が強かったんですが、HAGSが1〜6才児向けのユニミニシリーズを出して市場を取り戻しました。このシリーズでは、幼児向けの遊具をHAGSなりに突き詰めて考えたので、これまでにないユニークなデザインになっています。

傾斜のきつい階段を掴んで登る

例えば、コンパンは滑り台の階段は角度を緩くして登りやすくしていますが、HAGSでは逆に角度をきつくして、代わりに踏み板を手でつかみやすく怪我をしないようにしました。最初のうちは、踏み板をつかんで登りますが、成長すると手を使わずに足だけで登っちゃいますよ。サイドの手すりもありませんしね。このように、子どもの成長を促しながらも安全性を確保するのがHAGSのポリシーなのです。ラプセットは日本にも入っていますが、完全にHAGSのコピーです。ABCは、後発メーカーでドイツマツを使って安いのが特長です。もちろん安全規格はクリアしていますが、「遊び」を理解していないので、的はずれなものを作ったりしています。日本国内では、ジャクエツが大手ですね。鉄遊具は、地方の小さな鉄工所が作ってきているのですが、今後日本でも安全基準が定まればその対応に苦慮することになるでしょう。(他メーカーを節度なく批判することは避けたいと思いますが、このままでは遊具全体に対する信頼を失いかねませんので、少し言わせてもらいました。佐々木)

HAGSの会社の規模、歴史、名前の由来を教えて下さい。

HAGSには約150人の社員がいます。これは世界一の規模です。1948年に設立されてもう50年以上の歴史があります。100年前にスウェーデンのエレン・ケイ*という女性解放家が「児童の世紀」を出版したのですが、その中で子どもにも人権があるということを謳ったんですね。それに賛同した人達が、色々なグループを作って研究を始めました。その後、第2次世界大戦になって、中立国だったスウェーデンは物資を世界に供給するために、みんなが働かなければならない状況になったとき、福祉や車椅子を配慮した街づくり、モータリゼーションの進む中で子どもが安全に遊べる環境などについて色々なグループが研究を始めました。そういったグループの一つで子どもが遊ぶ環境の精鋭達がHAGSを創立しました。その3人のイニシャルがHAGSの社名になっています。
*スウェーデンを代表する絵本去作家エルサ・ベスコフもエレン・ケイの教え子です。

品質管理システムのISO9000を取得したそうですが。

HAGSは1993年にISO9001を取得しました。これは、設計、材料から流通段階まで含めた品質管理のシステムです。海外の場合、流通事情のため商品が到着しないという問題もあるので、お客さんにお届けする過程も品質の一環として取り組んでいます。

事故やクレームなどのフィードバックはどうなっていますか?

日本国内での事故やクレームは、アネビーを経由してHAGSの本社に報告されます。その報告を品質管理や設計などに生かします。

輸入おもちゃの場合、時に日本向けに仕様を一部変更したり、出荷検査を厳しくしたりということもありますが、HAGSの場合はどうですか?

日本市場を特別扱いすることはありません。しかし、それは日本市場を無視しているということではありません。日本からのクレームや事故の報告の中で、改善すべき点と判断すれば改善し、それは日本向けだけでなく全世界に出荷される商品に反映されています。

日本国内にHAGSが設置されている園や学校、公園は何カ所くらいあるんですか?

およそ700〜800カ所くらいでしょうか。まだまだ少ないです。幼稚園と保育園だけでも全国では4万園あるんですから。

受注〜施工〜メンテまでの流れを教えて下さい。

小さな遊具であれば、在庫しているパーツを使いますし、規模が大きくなればCADで作った図面を元に必要なパーツを拾って、HAGSに出荷を依頼します。施工は、当社の担当者が出向いて監督します。小さなものなら社員や販売店だけで施工し、メンテナンスは、販売店の担当者に、消耗するパーツやガタ・ゆるみの出るパーツを指示して、時々見てもらうようにお願いします。それとは別に、当社が点検を委託されることもあります。

環境管理システムISO14001の取得を始め、環境にも気を配っているそうですね。

リサイクルまたは安全に廃棄できることが材料や各種処理の基本です。例えば、塩化ビニルは一切使っていません。廃棄については、材料によって異なりますが、柱などの木製材料は埋めて1年もすれば土に還るような防腐処理がなされています。その他の材料も、リサイクルか燃料になるように考慮されています。

HAGSのように、高い志を持った会社が販売的にも成功している例は珍しいと思うのですが、何が要因だとお考えですか?

HAGSは一貫して子ども達によりよい遊び環境を提供しようと、遊び場の研究をしてきました。その結果が今のような地位を築いたのだと思います。価格については高いと言われますが、開発や安全性を確認するためのテストに莫大なコストがかかっているためです。実際のところ、HAGSは儲かっているわけではありませんし、会社を大きくしようと思っているわけでもありません。

公園などの手間はかかるが額の大きい商売と、園用の規格品などの額は小さいが手間のかからない商売との間で、百町森の「園に合わせた提案をする」商売は手間はかかるが儲からないものになるかもしれませんが、横山さんはどんな展望をお持ちですか?

まず、「百町森さんが関っている園」ということで、次の商売に結びつけられるメリットがあります。また、公園などの大きな規模の商売は実際少なくなってきている中で、園向けの販売が社内でも重要になってきています。そのなかで、百町森さんのように、ひとつひとつの園に合わせた提案を行っていくことは、これからの主流になると考えています。また、こういった丁寧な売り方をすることは、何よりも子どもの遊びのためになるということですから、非常に大切なことです。

横山さんが仕事をしていて、よかったなぁ〜と感じるのはどんな時ですか?

もちろん、子ども達が喜々として遊んでいる姿を見ることですが、遊んでいる子ども達を親が安心して見守っているのを見ると、とてもうれしいですね。事故の心配をせずに、一日子どもを遊ばせていられる遊具が、HAGSなんです。

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