【終了】子どもの本を読んで哲学してみませんか? 〈付:参加者からの感想〉

「トムは真夜中の庭で」をより深く楽しみ考える

PA060051.JPG今回、取り上げたのはフィリッパ・ピアス=著「トムは真夜中の庭で」でした。翻訳家で児童文学者の清水眞砂子さんにもゲストで来ていただき会を進めていきました。

会で出た話題や、参加者からの感想も末尾に付けました。

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ISBN400110824_00.jpg「子どもの本を読んで哲学する」会は「哲学対話」(正解のない問いに対し自由に話し対話する。対話は討論と違い、話す前と後で考えが変わる。)という考え方を元に、皆で本に対して自由に思いを述べ、対話をする読書会です。哲学的用語などで話す会ではありません。お気軽にご参加下さい。

今回、取り上げるのはフィリッパ・ピアス=著「トムは真夜中の庭で」です。翻訳家で児童文学者の清水眞砂子さんにもゲストで来ていただき会を進めていきます。清水さんの近著『あいまいさをひきうけて』では、フィリッパ・ピアスさんとインタビューした内容を載せています。こちらも読んで参加して下さい。

また、『真夜中のパーティー』『まぼろしの小さい犬』など他のピアス作品もできれば読んで参加して下さい。

読みながら印象に残った箇所に付箋などを付けておいてください。参加者は特に印象に残った部分1〜2カ所とそれをあげた理由をあらかじめ2日前までにメールなどで送っていただけると有り難いです。それをもとに会を進めていきます。

参加費は1人2,500円(会員/中・高生/学生2,000円)※百町森で本を買って頂いた方は文庫本1冊につき100円、ハードカバー1冊につき200円割引します。(自主申告制)

また、先着4名さままで1台300円で駐車場をご利用頂けます。

対象:親、保育者、学校の先生、図書館員、読み聞かせボランティアをしている方、子どもの本が好きな方、中・高校生、大学生…どなたでも。
会や駐車場の申し込み予約はお電話で。054-251-8700 

PA060019.JPGPA060046.JPG(写真は今回の会の様子)

フィリッパ・ピアス=著

ハードカバー「トムは真夜中の庭で」

少年文庫「トムは真夜中の庭で」

以下、参加者からの感想ですこれらは会が終わってから、参加者に寄せていただいたものです。

その1

 天皇陛下が皇后様に、皇后によってご自分の「窓」が開かれたと、歌に詠まれたとか聞きましたが、私も『ゲド戦記』からピアスの読書会によって自分の「窓」が開かれたというような思いがします。
 私はこれまで、どうも、物語や小説を読むときも「正しい解釈」ということにとらわれていたと思います。確かに間違った解釈(読み間違い)というのはあるかもしれません。でも、例えば、主人公はなぜこういう行動をとったのかと考える時、ああだからじゃないか、こうだからじゃないかといろいろな考えがでてくることが大切で・・・・・そんなことわかり切ってることのように思いますが・・・・・そのあと、どの意見が「正しい」のか考え、心の奥底で「正しくない」ものを切り捨てようとすることが、どんなに自分の心を狭めているかということに気づかされたのです。「それは違うんじゃない?」と思った意見にもずいぶんないろいろ背景があるのですから。
 今回の『トムは真夜中・・・・・』は10人ほどの会でしたが、実に皆さんいろいろな読み方をされ、それがとても新鮮で、そう感じる自分は何か心が解放されるような気がしました。そしたら、清水眞砂子さんが、「皆さん、いろいろな読み方をされるんだなあって面白かったです。」といったようなことをおっしゃり、清水さんのようなとらわれから自由な心の方でも、あらためてそう感じられるんだな、いや清水さんだからこそと感じ入りました。 

 それからピアスについていえば、いちばん興味深かったのは「時間」のとらえ方で、「人間はそれぞれべつべつの時間をもっている」という発想です。それが『トムは真夜中・・・』や『まぼろしの小さい犬』の物語を成立させているのでしょうが。
 時間は数学的には誰の身にも等しくあるはずなのに、「自分だけ時が止まったように」思ったりすることとか、「あっという間に過ぎ去ってしまった時間」ということが現実によくあります。そして同じ時間を共有したいという願望があるため、「べつべつの時間があるということ」を受け容れることはとても難しく、哀しいことでもあります。でも、それをちゃんと受け容れることができた時、自分もより豊かな時間が持てるようになるのではないか。そんなふうに感じることができるようになりました。

その2

 「ピアスは、子ども時代の最後を描いた」という清水先生のお言葉に、納得しました。ハティに会いにいくトムは、子供らしい発想、悲しみや喜びといった感情が本当によく描写されていると感じます。また、トムと、おじさんおばさんの関係性のお話が興味深かったです。親世代は現実を生きる実生活を担当しているということ。それだけにトムとハティが過ごす時間も夢か現実か分からなくなるほど、引き込まれました。他の作品もぜひ読んでみたいと思います。

その3

 「トムは真夜中の庭で」を読んで哲学する会に参加しました感想、というより、私の日々の雑感といったものでしょうか。

「あいまいさを引き受けて」を会の後も読み進めていますが、清水さんの鋭い洞察やご指摘にハッとさせられたり、自分の考えを自覚したり戒めたりしています。

ピアスさんとの対談p.161の内容には強く同意しました。子どもは大人への準備段階ではなく、今という豊かな時間を生きている。夫も涙を流して(・・;)、それはまさに俺が日頃感じていることだ!と感動していました。
週末、家族で自然に出て遊んでいると、今だけを楽しむ子どもの活き活きとした反応や様子に、大人となった私たちにも豊かな時間が広がるように感じています。

また、トムもおじさんおばさんからしたら、意味不明な質問をする理解不能な男の子でしょうが、我が子もやはり可愛げなかったりウザかったり、、でも、大人目線で批判的に見るのではなく、子どもは子どもとして受け止めたいと改めて思いました。

また、p.196。4歳の娘を保育園にお迎えに行くと、ひとりで絵本を開いてることも多く、その姿を見るとどうしても胸がざわつく。お友達と楽しそうに遊んでる姿はやっぱり嬉しいし安心する。私自身が小学生のとき、人間関係に居心地が悪くなると図書館に逃げ込んでいたのですが、その気まずさが思い出され、お友達と一緒にいる方が楽しいと自然に思えるようになってくれたら、とつい思ってしまっていました。が、それは親として感情的な見方だったと反省。その内面でいろいろなことを感じている子どもの多様な姿にもっと肯定的な視線を送ろうと思いました。

例えばホームレスの方にたいして、その人の人生を想像することで、その人と繋がることができる、という清水さんのお話が心に残りました。ちょうど一年前に母が急逝。母という人、母の人生をもっと深く理解したい、自分の中に消化して取り込みたいという気持ちが強くありながら、どうしてよいやら。それが不思議と、ゲド戦記やトムを読む中で、また会での清水さんのお言葉をヒントにも、母に想いを馳せることがあり。今回も、想いを馳せる想像することで母と繋がることに気付かせて頂きました。

ちなみに、母は高知生まれ、静岡大学人文学部を卒業し、東京で中学校の国語の教師として定年まで38年間勤め、そのあとは日本語教師や趣味を満喫し、父との旅行や孫の成長を楽しみながら、介護をしていた祖父が亡くなった半年後、68歳で急逝しました。何事にも熱心で真面目で、30、40代はオンナ金八先生と呼ばれていたらしい熱血教師でした。勉強好きで教養もあり頭の良い人でもありました。国語の授業は、自分で新聞を切り抜きしたり、たくさん工夫して手書きの資料や試験を作っていました。今回の会でも、学校の指導に話しが及ぶと、母はどう考えていたのか聞きたかったと残念に思うのでした。

 

名称:
子どもの本を読んで哲学してみませんか?・・・ ル=グウィン著「ゲド戦記」をより深く楽しみ考える
開催日:
2018/10/06(土)
時間:
18:30〜20:30
場所:
百町森 プレイオン
料金:
一般2,500円 会員、中・高生、学生2,000円(税込)
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