柿田のブログ

店主柿田の思いつくまま、気の向くまま、夫婦でライフワークにしている出張お話会の様子や、見に行ったイベント、お客さまからのお問い合せにもお答えします。

暴力ではなにも解決しない!

2023年10月18日、82の国と地域が加盟するIBBY(国際児童図書評議会)は、イスラエルとパレスチナの現状について、声明を発表しました。
10月7日(土)からくり広げられている事態に、世界は衝撃をうけ、動揺しています。国際児童図書評議会(IBBY)はいかなる形の暴力にも反対しています。とりわけ子どもに向けられた暴力については糾弾せざるをえません。国連の子どもの権利条約には、すべての子どもは生まれながらにして生きる権利をもつことや、人権と基本的自由の尊重を促進させることが明記されています。IBBYも同様に、すべての子どもの権利が守られることを求めています。
 15年前、パレスチナ自治区のベイトハヌーンとラファに、IBBYガザ図書館が開館しました。この2館は、地元の子どもたちが読書を楽しみ、本をとおしてよりよい未来を思いえがくことのできる安らぎの場となっていました。ガザ図書館は、封鎖、軍事衝突、貧困にもめげずになんとか開館を続けてきましたが、現在の戦争によってまた破壊されようとしています。私たちは、この戦争の被害を受けているすべての子どもたちのことを深く案じています。とりわけ包囲されて人道的な状況が悪化の一途をたどるガザで、図書館員や罪のない利用者たちがどうしているかについて、とても心配しています。
 人質作戦や大量虐殺 * は許しがたいものですが、現状のような武力衝突ではなにも解決しません。公正と平和とヒューマニティーを信じるすべての機関や組織に対して、外交的解決にむけて力を尽くし、悲惨な戦争を終わらせるよう私たちは呼びかけます。イスラエルの子どもたちもパレスチナの子どもたちも、こんなひどい環境におかれていていいわけがありません。

 2023年10月18日
 IBBY国際理事会

===
JBBY註 * 10月7日、イスラム組織ハマスはイスラエルで少なくとも1400人を殺害し、200人以上を人質にとった。イスラエルは報復として空爆作戦を開始するとともに、ガザ地区を完全封鎖し、水や食糧、電気、ガスなどの供給を遮断した。ガザ保健省によれば、イスラエルの攻撃によって、10月7日から28日までのあいだに、子ども3,000人以上を含む7,703人が犠牲になったという。

今回の武力衝突で私は「瓶に入れた手紙」(作:ヴァレリー・ゼナッティ 訳:伏見操 装画:ささめやゆき)という本を思い出しました。

ISBN458082389_00.jpg

内容
イスラエルに暮らす少女、タル。
ある日、彼女の家の近くで、パレスチナ人による自爆テロが起こる。
このテロをきっかけに、タルは、「憎しみ」ではなく「希望」を見出すために、パレスチナ人に手紙を送ろうと考えた。
ガザの海で、瓶に入ったその手紙を受け取ったのは…。(版元解説)


この本を読むことで私は幾つもの偏見が崩れていきました。
イスラエルに住む人が皆国家の政策に賛成している訳じゃないこと。
パレスチナガザ地区は天井のない牢屋と呼ばれていること。
それでもそこにはNPOの人権団体がいたり、ガザ地区の人がイスラエルに行くこともあること。
腹が立つことも微笑ましく思うこともいろいろ出てくるけど、結局皆血が通った人間のしている身近な出来事、イスラエルとパレスチナガザ地区の話も遠い出来事ではないんだと思えた一冊です。
(コプタ通信2019年7月号より 柿田友広)


血の通ったこの人たちの命を絶つことはあってはなりません。自分に何が出来るか考える日々です。

ロシアの軍事侵攻、あってはならない事です…

戦争がまた起きてしまいました。心を痛めている方は私だけではないでしょう。でも、もしよろしければ、私の考えていることにお付き合いください。

国際法を無視した今回のロシアのウクライナへの軍事侵攻、プーチンの蛮行はもちろん絶対に許せませんが、2003年のイラク戦争は、アメリカブッシュ政権中心の蛮行だった事を私たちは忘れてはなりません。日本も戦闘こそしなかったけど、自衛隊を復興支援という名目で派遣しました。(同盟国でもドイツとフランスは参戦しなかった。そういう選択肢もあったはず。) この戦争で赤ん坊や子どもを含む12万人のイラクの一般市民が殺されました。アメリカ兵も4000人死んでいるそうです(NHKラジオからの数字)。その後、戦争の口実だった核兵器は見つからなかったとアメリカもイギリスも謝罪らしきことをしましたが、日本は何もしていません。

一般市民は言わずもがなですが、自国の兵士も含め、権力者が悪意のある思い込みで多くの尊い命を奪うーこんなことは、あってはならない事だと私は思います。

ウクライナの痛ましい光景で、戦争は絶対に駄目と私たちは悟りました! 

ロシアという国は歴史的にもひどいことを周辺諸国にしていて私は絶対許せないと思っていますが、私たち日本人は西側(特にアメリカ)の情報ばかり聞いていて、それも、かなり危ないと私は思います。今、ウクライナの市民のために、何かしたいという気持ちのある人はとても多い気がします。でも、2003年のイラク戦争の時、死に直面しているイラクの一般市民のために寄付をするなどの日本人はどれだけいたでしょうか?  今回は核の使用まで口にしたり、原発を攻撃したりするプーチン政権、大三次世界大戦に大変という危機感が大きいことも事実ですが、とはいえ、国家主義的になってないか、感情的に全体主義的ムードに流されてないかー私たちは絶えず自己をチェックする必要がありますね。(80年前の戦争の時も、始める時は皆がムードに流され日本は軍事侵攻をしました。)

世界も今、そんなムードに流され軍備拡大などとならないことを祈ります。

日本も国として、防衛力を強化すべき、核兵器を持つべき…、そんな政治家も現れましたが、頭の中はプーチンやブッシュと同じ、そういう人こそが思い込みで侵略戦争をしたり、核のボタンを押すのだと私は思います。

平和憲法の日本は、どんな場合でも、もっともっと冷静に戦争ノーと言えるのです。権力者が暴走する前に、戦争の芽を摘み取っていけるのです。どうにも心穏やかになれない日々が続きます。            

本当のしあわせは、国を守る事ではなく、一人ひとりが大切にされる社会を作ることでは!

百町森では下記IBBYの趣旨に賛同し、絵本「てぶくろ」の価格の20%分とお店の売り上げの一部を、ウクライナの子ども達のためになるようにJBBY(IBBYの日本支部)に寄付をします。(「てぶくろ」が全国的に売れて手に入りにくくなっていますので本をかえることにしました。このブログの最後のところをご覧ください。)

3月6日  百町森 柿田友広 (個人的にJBBYの会員です。) 

          

                           

ロシアのウクライナ侵攻を受け、IBBY(79の国と地域が加盟するIBBY国際児童図書評議会)が声明を発表

 歴史をふりかえると、いつの時代にも、戦争は罪のない人々、なかでも子どもたちを危険にさらしてきました。国の指導者の衝動的な行動によって最初に傷つき、長きにわたり影響を受けるのは、それとはまったく無関係の子どもたちです。戦時下の子どもが、身体的な傷はまぬがれたとしてもトラウマに苦しむのは、ご承知のとおりでしょう。安全や平和というものを突然失った子どもには、いつまでもトラウマがのこります。戦争は最大の破壊行為ですが、私たちは文学、とりわけ子どもの本は未来を変え、破壊ではなく話しあいの価値を次世代に伝えることができると信じています。主権国家であるウクライナにロシアが侵攻したことを、IBBYは深く憂慮しています。

 IBBYのウクライナ支部は1997年の加盟以来、積極的に活動をしてきました。IBBYは、キエフのアーセナル・ブック・フェスティバルに何度か参加し、そこで本の巡回展も行いました。 私たちの思いは、子どもたちと本の出会いに尽力してきたIBBYウクライナ支部、アーセナル図書フェスティバルの友人や仲間とともにあります。

 私たちはまた、モスクワやサンクトペテルブルクでこの痛ましい状況に対応しようとしているIBBYロシア支部の友人や仲間たちのことも思い起こさなくてはなりません。なんの罪もないのに、この戦争で身体的にも精神的にも危機にさらされている子どもたちのことを、IBBYは第一に考えます。 世界各地のIBBYの仲間たちは、現在の事態に心を痛めており、さらに多くの命が失われるまえに、国際人道法により平和が回復することを願っています。(一部割愛)

2022年2月26日IBBY

IMG_1340 (1).jpg

静岡新聞2022年3月23日夕刊

3月6日にこう言いはじめてから、「てぶくろ」の絵本を買いに来てくれる方が大勢いらしています。

すでに50冊近く売れています。

自分も意思表示をしたいという事なんだと思います。

戦争への思いを話す方、中には若い方で思い詰めた様子で買われる(予約される)方もいます。

微々たる力ですが、自分もこうしたムーブメントを起こして少し良かったかなと思っています。

4月4日

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ロシアのウクライナへの軍事侵攻に心を痛めているのは私だけではないと思います。ウクライナを支援しようということで3月6日からウクライナ民話絵本「てぶくろ」の売り上げの20%を支援にあてようとしました。4月20日現在で約70冊売れ、寄付金も2万円以上頂いています。ただ、私の大誤算は「てぶくろ」が全国的に売れて手に入りにくくなってしまったこと。さらに国際児童図書評議会を通しウクライナ支部に送ろうとしていたのが、その窓口ができないことです。

そこで、当初の考えを変え、スロヴァキア在住の絵本作家降矢ななさんに送ることにしました。降矢さんはは自身もウクライナの方を受け入れていて、降矢さんに集めたお金を送る事で、ウクライナの難民支援に使ってくださると聞いたのです。

その後、降矢さんと連絡をとり、「1、スロヴァキア国内に避難してきている方々への支援、または、2、ウクライナ国内で難民状態にある人たちへの生活物資支援ーの大まかに2つの方向で選ばせていただきます。」とのことでした。私にとっては顔の見える関係の降矢さんに寄付を送り、周りにいる難民の皆さんに役立ててもらえるなら嬉しく思います。。

本も、なかなか手に入りにくくなっている「てぶくろ」に変え、降矢なな作品の「ともだちや」シリーズ、「ピーターとオオカミ」「イソップのおはなし」などの売り上げ20%、プラス、百町森の売り上げの一部を送ることにします。

なお、こちらの商品をご注文いただいた場合は2万円以上(会員は1万円以上)の場合も送料を頂いています。

皆さんどうぞご理解いただきたく思います。2022年4月21日(柿田)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5月31日、降矢さんに義援金の第1弾を送りました。

〈送った分〉
本売り上げから20,120円
募金箱から19148
計39,268円

早速、降矢さんから以下のようなメッセージを頂きました。

€282.12確かにお受け取りしました。昨日、私の住む町の高校(ギムナジウム)の校長先生にお会いして義援金の使い方について話し合いました。ウクライナから来る子どもたちがこの国で勉強を続けるためには、スロヴァキア語の習得が必要です。現在も学校で補習が行われていますが、今後も難民の入国は続くことは避けられず、補習を行う先生の手当も少ないままこれまで何とかしのいできているそうです。そんな中、この夏休みの間にスロヴァキア語の集中補習講習が計画されています。義援金をそのプロジェクトに使用するのが一番良いと、校長先生と合意しました。柿田さんの送って下さった義援金などを提示して、うまく活用していただけるのか話し合いたいと思います。今後も、準備段階や夏期講習がはじまったら、できる範囲で活動を記録してお知らせいたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

7月25日、5~7月分、降矢さんに義援金の第2弾を送りました。

〈送った分〉
本売り上げから4,460円
募金箱から16,087
計20,547円

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12月6日、7~11月分、降矢さんに義援金の第3弾を送りました。

〈送った分〉
本売り上げから6,160円
募金箱から9,000円
計15,160円

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<2023年1月2日に降矢さんからメッセージが届きました。>

ウクライナ難民支援の義援金の寄付先のご報告をいたします。

これまで百森町さんから頂いた義援金(3回分)は、トータルで537.10 EUROになります。
そこに、その他の方々(ナルニア国、東京子ども図書館、など)からいただいた義援金を合計した 7034.48 EURO から
10月10日:ペジノクの「自由時間センター」に 3,000 EURO
     Pさんの学費に        500 EURO
12月28日:ウクライナのザポリージャ市の市議会の”Institute of Political Awareness”の INNA PENČUK(以下 I・Pさん)さんの元に 3100 EURO

寄付させていただきました。

〇ペジノクの「自由時間センター」は去年の夏に高校に通うウクライナ難民の学生たちにむけてスロヴァキア語の夏季講習を行ってくれた場所です。それ以降もペジノク市内に暮らすウクライナの子どもたちとスロヴァキアの子どもたちの交流などに力を入れてくれているので、その活動費として寄付いたしました。
〇Pさんへの学費支援は、彼女の家族がここで頑張って暮らしている様を間近に見ていることから、特別に寄付させてもらいました。

〇ザポリージャ市の I・Pさんと私を結び付けてくれたのは、去年の3月初めにザポリージャからスロヴァキアのペジノクに避難してきたJさんです。Jさんは娘さんと共に3月はじめから約2ヵ月半我が家に仮住まいしていました。今は市内にアパートを借りて生活しています。昨年、彼女と話をしていて、ザポリージャに残ったJさんのお母さんがJさんたちの住んでいた団地の部屋に、ウクライナの南東部から逃げてきた人たちを受け入れていることを知りました。夏ごろはマリウポリからの避難者を。今は、原発のある地域エネルホダルからの避難者です。そこで、Jさんのお母さん宛に義援金を送ることを提案したところ、「それよりもザポリージャで子どもたちへの支援をしている人を知っているからそこに寄付してはどうか」と提案されました。それが、 I・Pさんでした。そしてすぐに連絡を取ってくれて、Jさんの口座を通して(ウクライナへの送金はユーロをフリヴニャに替えなければならないので) I・Pさんが送ってくれた名簿「今現在、一番援助を必要としている7つの家族」の口座に分割した義援金を送金しました。

はじめ、Jさんの家族もスロヴァキア暮らしで苦労しているのにそんな提案をしてよいものか迷いました。でも、ザポリージャに残ったお母さんをはじめウクライナ国内でそれぞれが助け合って暮らしていることを知れば知るほど、Jさんや夫のDさんもきっとウクライナ国内に残っている人たちを助けたいと思っているのでは・・と思いました。提案してよかったです。
年明けに、私は送金した一家族からお礼のSNSをもらいました。グーグルの翻訳機の直訳ですが、ここにコピペしておきます。


「こんにちは! 私はマックス(この子は自閉症です。)の母親、オクサナです。 ウクライナ出身の初心者アーティストである私の息子を助けてくれてありがとう! エミュー絵の具、ブラシ、キャンバスを買いました! 神があなたとあなたの愛する人を守ってくださいますように! ありがとう!」


1月6日はウクライナのクリスマスでした。息子さんへのクリスマスプレゼントになったのでしょうね。
義援金の送金先の7家族は、お子さんに障害があるなど避難生活が特に厳しい困窮家庭でした。ウクライナ国内のインフラがロシア軍によって破壊され、人々がこの寒い冬を毎日どう過ごしているのか、考えただけでも背中が冷たくなります。戦争の一日も早い停戦を願います。

百森町さんで集めてくださった義援金はこのような形でウクライナ人々への支援に届きました。
ほんとうにどうも有り難うございました。

2023年がどのような年になるのか、考えると重苦しい気持ちになってしまいますが、どんな時でもユーモアと笑いを忘れないようにと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

上記の支援は2023年12月で終了致します。
皆さんの心からのご支援に感謝いたします。

今後は百町森に集まった義援金は静岡でウクライナ支援に関わっている人たちに寄付を致します。

2024年1月5日 百町森 代表柿田友広

その方は種本弥生子さん(81歳)。

これまでも孫のためにいくつか絵本作りをしてきましたが、75歳になった頃、これまで趣味の手芸で培った手仕事の知識と技術を生かし、布絵本作りにとりかかりました。

お話(ストーリー)は、作者の山梨県富士吉田での子どものころの原体験から生まれました。

布生地やフエルト、人形用の部品を購入し、何カ月もかかって試作品を製作しました。

出来上がった試作品に孫たちは大喜びして布絵本を読みました。

「こんなに喜んでくれるなら、もっと作ろう」と種本さんは思いましたが、一人でたくさん作ることはできず困っていたところ、親族の企業が宮城県登米市で、東日本大震災後に被災者を応援するプロジェクトとして、被災者が仮設住宅で編んで製作した「編みたわし」を販売していることに気が付きました。

そこで種本さんは、編みたわしを企画した、宮城県登米市にあるNPO「コンテナおおあみ」に、お母さんたちを訪ねてみることにしました。

「コンテナおおあみ」では、編みたわしをデザイン・企画する足立佳代子さんを中心に毎週お母さんたちが集まって、編みたわしを水揚げしています。(ここでは、製作することを、水揚げする、と言います。)

(ちなみに、この編みたわしは「編んだもんだら」とネーミングされてすでに市販されています。タコや、ホタテ、ヒラメ、サンマ、ウニなど三陸の海で取れる海産物をモチーフにデザインされた編みたわしで、とても可愛く作ってあります。編みたわしを製作することを水揚げというのはここから来ています。ちなみに百町森では編みたわしは扱っていません。)

日々編みたわしを編んでいる6人のお母さんたちも、布絵本の楽しさに魅かれて、制作を引き受けてくれることに。

でも、その後が大変、いつもは器用に編みたわしを毛糸で編んでいますが、布絵本は編みたわしとは違う難しさがあって、なかなか上手に絵本が出来ません。

種本さんは何度も東北に製作指導に行きました。

そうして3年の歳月をかけ、『さとやま布絵本』が完成しました。

IMG_8188.jpg

さとやま絵本「いっしょにあそぼ」

種本弥生子/著 コンテナおおあみ製作

本体27,000円+税(4冊セットバラ売り不可)   閉じた時26×25cm

作者が東日本大震災後に被災者を応援するプロジェクトと連携して作った春夏秋冬全4冊、各見開き1ページの布絵本。副読本付き。

春は、ニワトリのおかあさんとひよこ達。おかあさんの白い羽の下に黄色いフェルトでできたヒヨコが隠れていて、ヒヨコたちを動かすことができます。

IMG_8114.jpg

夏は、七夕の織姫と彦星。笹に短冊を掛けることができたり、織姫、彦星を移動させたりできます。

IMG_8128.jpg

秋は、山のリスとどんぐり。ムササビやリスやどんぐりを動かせます。

IMG_8141.jpg

冬は、かまくらで遊ぶ子とウサギ。雪にウサギが4匹隠れています。カマクラで男の子と女の子の人形を使い遊べます。

IMG_8155.jpg

販売は百町森が作者から頼まれてしています。

2016-06-22 15.07.55.jpg

2020/02/05 代表 柿田友広

百町森40周年のごあいさつ

IMG-2436.jpg

「人間が一生懸命働く時、お金はその一部に過ぎない」

これは私が最近出会った言葉、昨年亡くなった日本研究家ロナルド・ドーア氏の言ったことだそうです。これを知った時、百町森が40年続けて来られたのもそういうことだ!と思いました。(絵は40年前に私が描いたお店のイメージ)

最近、百町森のおもちゃや絵本を紹介したチラシの写真をInstagramに上げ、「商業主義と一線を画している」と評価してくださる方がいました。確かに、お金や商業主義と縁遠いというか(笑)、未来の社会を見つめながら仕事をしているようなところが百町森にはあります。(こう言ってしまうと照れますが・・・)

子どもが育つ環境を整えるお手伝いをしたいというのが百町森のビジョンですが、思えばそのために結構押しつけがましい売り方をずっとしてきました。本でいえば、子どもに新刊は必要ない、ロングセラーが大事でそれを自分で読ませるのでなく読んであげてとか。おもちゃでいえば、キャラクターの付いたもの、暴力的なもの、使い捨てのもの、電動のもの…ではなく、自然の原理がわかる五感を育むものから与えてと言ってきました。

また、レジ袋を廃止しお客さんにマイバッグを持ってきてと言ったり、トイレットペーパーを古紙再生のものにしたり、通販の発送の際もリユースの段ボール箱を使ったり・・・、環境への配慮も早くから取り組んできました。しかし、最近、こうした売り方を「アイデンティティ・マーケティング」とよんで最先端の店もしていることを知り、胸をなで下ろした次第です。

また、百町森はイベントとして年に一度「保育・家庭教育セミナー」、さらに小さなイベントを数々開催したり、プレイルーム(25年前からはじめましたが、これを子育て支援の先駆けと言って下さる人もいました。)を併設したり、独自に作っているウェブサイトも商品を売るだけでない、物に対する考えをいれたりと、日を追うごとに単なる小売店という枠を超えた事業になって来ました。わずかではありますが、売上の一部を被災地支援に使わせてい頂いてもいます。

そうした中で、自宅や職場と違う、学んだり情報交換ができる、子どもはもちろん大人にも心地よい居場所になるよう努めてきました。そんな店作りが功を奏してか、最近は百町森に平日も土日も大勢の方が来店してくれ、プレイオンの利用者も増え、根強いファンが増えてきたように思います。子育て中の親御さんだけでなく、以前は少なかった小・中学生や、保育や教育に関わる方も大勢みえるようになりました。

「色んな人が集まって来るコミュニティ、そんな中から文化が生まれることもあるかもしれない。」

これは私が40年前にどんなお店にしたいか漠然と考えていたことですが、スタッフに恵まれ、いろいろなアイデアを取り入れ、ようやく気負わずこうしたことができるお店になってきたのかなぁと最近思います。

百町森は3月1日で40周年を迎えます。これまで支えてくれたすべての皆さんに感謝すると共に、これからも多くの皆さんにご愛顧いただけるよう努力してまいります。

2019/02/01 代表 柿田友広

CIMG5976.JPG「ゲド戦記」等、すぐれたファンタジー作家であるアメリカ人のアーシュラ・K・ル=グウィンが2018年1月22日に死去されました。追悼の意味もあり、この年、「ゲド戦記」全6巻を取り上げ、ゲストに「ゲド戦記」の翻訳をされた清水眞砂子さんに来ていただき、読書会を開きました。

ISBN477381703_00.jpg

『マコの宝物』 えきたゆきこ著 現代企画室

今回はこの本を取り上げました。

ゲストに『マコの宝物』の解説を書いている児童文学者の清水眞砂子さんに来て頂き、会を進めていきました。

子どもの本って実は哲学なんだなぁって思いました。

先日、「絵本を読んで哲学してみませんか?」という会を開きました。取り上げた本は『かないくん』(谷川俊太郎作、松本大洋絵)という絵本です。

ゲストに静岡大学農学部教授で文学博士(専門は哲学、倫理学、生命環境倫理学)の竹之内裕文先生をお招きし会の進行をしていただきました。

まず、竹之内先生からプロジェクターを使った自己紹介や、死についてル・グインの『ゲド戦記』、長田弘の『死者の贈り物』からの引用文を取り上げた後、柿田が『かないくん』を朗読しました。

その後、ある五つのテーマについてグループに分かれ、人の意見を最後まで聞く、その時発言者はコミュニティーボール(写真で竹之内先生が手にもっているもの)を持つといったルールIMG-5175.JPGの説明を受けた後、30分ほどじっくりグループディスカッションをしました。

(ちなみに五つのテーマは1,「死」を「重々しく」も「軽々しく」も考えないとは 2,「死んだら終わりまで書ける」とは 3,死とともになにが「始まった」のか 4,絵の中に頻繁に出てくるウサギは何を意味しているのか 5,お葬式で笑ってしまうこと です。)

それから全体で45分ほど、対話の中で出てきた印象深かったことなどをグループごとに発表し、それについても話したい人はその場で発言しました。

中学生棋士から始まったキュボロ騒動に思うこと

中学生のプロ棋士藤井聡太さんのお陰で、アナログおもちゃ、特にキュボロや将棋がにわかに注目されています。デビューから29連勝して新記録を打ち立てた藤井さんですが、子どもの頃に夢中だったおもちゃということでお母さんが紹介したのがキュボロという「玉の道積み木」だったことがテレビで伝えられたからです。

キュボロは確かに素晴らしいおもちゃなんですが…

それ以来、百町森にもキュボロを買い求めてにくるお客さんが増えました。キュボロが大好きな私として、こういう地味ながら完成度の高いおもちゃに注目が来ることは嬉しいのですが、でも、今は在庫もなくなり、予約を受けている状態、次に入るのは来年になりそうです。この騒動より前から買う計画を立てていた人には申し訳なく思っています。

もともと、月に1、2個しか売れなかったキュボロが、毎月10個、20個と予約がくるって、これは加熱し過ぎです。苦しい経営が続くお店としては嬉しい事態ではありますが、反面、歯がゆさを感じざるをえないというのが正直な話です(大企業なんかだと、こういう状況を利用して上手にあおったりして売り上げ増やすのだろうけど、格好つけるわけじゃないけど、そんな商売をしたら罰が当たるような気がしてどこかブレーキがかかります)。

絵本作家いせひでこさんと映画「いのちのかたち」のこと

いせひでこさんは、1995年1月に起こった阪神淡路大震災の2ヶ月後に、絵描きとして何かを描いて伝えようとスケッチ帖をもって神戸の青ビニールの風景の上を歩きまわりながら、結局何も描けず無力感を持ったまま帰ります。その3年後、いせさんの所に復興支援のための「1000人のチェロ・コンサート」の呼びかけが届き、チェリストのひとりとして参加、そこから『1000の風、1000のチェロ』の絵本が生まれたということです。

それから10年以上の月日がたち、いせさんは『チェロの木』という絵本を描いていて、もうじき完成という時、東日本大震災がおこり、その結末が描けなくなってしまったそうです。いせさんはこの時もすぐに被災地に通い、そして宮城県亘理吉田浜で一本のクロマツの倒木に出会います。そのクロマツは根の裏をさらしたままじっと横たわっていて、ついこの間まで、防潮林や村がそこにあったことを、沈黙というかたちで伝えようとしているようで、初めて被災地でスケッチ帖を開いたということです。その後、伊勢真一という映画監督との出会いがあり、いせさんとこのクロマツのことがドキュメンタリー映画にもなることに。

小学校でお話会と講演を頼まれ行ってきました。
お話会は自宅近くの小学校にはもう20年ほどほぼ毎月行っています。
講演も学校、幼稚園、保育園でしばしば頼まれますが、保護者会やPTAで頼まれることがほとんどでしたので、今回の様に学校主催のものは珍しいケースです。そして、今回はその後、おもちゃも購入して頂きました。
nakaizu1.jpg

アーカイブ