

これは日本を変えた本です。以前は岩波新書で出ていました。今は石井桃子集5(3,045円)に入っています。
1958年、石井さんはそれまで編集者や翻訳家として活躍していました。しかしながら子どもの生の反応を見たいと当時は珍しかった家庭文庫を開きます。この本はその7年間の記録です。そして、その経験を図書館の児童室に役立ててほしいと、書名は「子どもの図書館」とし、1965年に出版しました。
しかし、この本が出てから日本全国に家庭文庫が次から次にできます。石井さんの実践したかつら文庫の特長は、文庫に置く本を選ぶ事と、本と子どもを繋ぐ大人がいること、そして精神の自由がそれを支えていたことです(松岡享子さんの分析による)。それが大きな波となって日本の子どもの本の理解者を揺るがしたのです。もちろん図書館を作る運動や、児童図書館員になりたがる人を増やす事にも影響を与えました。
石井桃子さんの思いはこの後、松の実文庫の松岡享子さん、土屋文庫の土屋滋子さんと東京子ども図書館を作り、本格的に図書館員養成の事業に発展します。今思うと百町森もこの精神の流れをくんでいたのですね。百町森の原点とも言えるこの本を先ずはこのブログの最初に紹介出来たことを大変嬉しく思います。
柿田&直子