'10年に出た印象に残った本
その4 百年の家

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絵を描いたのはイタリア・フィレンツェ在住の絵本画家。『ピノキオの冒険』『くるみ割り人形』などでしられている。
この画家の絵は隅々までリアルに緻密に描いていく作風で、一体一枚の絵にどれほど時間をかけて入るのかとそれだけで感動してしまう。
この画家がこんど手がけたのは家を主人公にした壮大な物語だ。

P1100691.JPG

『百年の家』
本体1900円+税
ロベルト・インノチェンティ絵
J・パトリック・ルイス作
長田弘訳


主人公は古い石造りの家、本当に建てられたのは1656年、その後廃屋になり、荒れて忘れ去られていた。が百年前、この家を見つけ、勇敢にも手を加え、住みだした家族がいた。その後二度の戦争があり、その度に起こった出会いと別れ,喜びと悲しみを見つめ続ける。

定点観測的に、ページをめくるつど、少しずつ時間が移る。その移り変わりを追っていくとドラマがあり、文明の進化なども見つけられる。人の生死を超えた重厚なテーマだが、ちょっぴり現代に対する皮肉もみえてくる。
詩情豊かな文とともに絵本の醍醐味が味わえる一冊だ。

10歳〜大人 31x24cm 63p

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