'10年に出た印象に残った本
その7 詩ふたつ

|

誰にも訪れる、愛する人との別れ。「死」の悲しみをやさしく癒し、大切な人との「絆」を静かに伝えてくれる詩画集。

P1100703.JPG

『詩ふたつ』
本体2800円+税
長田弘作
グスタフ・クリムト絵

「花を持って、会いにいゆく」「人生は森の中の一日」という二篇の詩が収められている。


この詩画集のことを知ったのはNHKラジオ第一放送の「落合恵子絵本の時間」でである。耳から入ったことが良かったのか、最後まで聴きたいという思いで必死にスピーカーの前にたたずみ、微動だに出来なくなった。
長田弘が妻を亡くした時に作った詩だと解説していたが、愛する人を失う時に、自分もこういう感覚でいるに違いないと感じた。
詩とは良い物だ、と思った。詩でなくてはならないと思った。

この本のもう一つの主役はクリムトの植物を描いた絵だ。クリムトと言えば裸婦が有名だが、樹木や花の絵もこんなに素晴らしいとは。
長田はクリムトのこれらの絵に、実際に励まされていたと「あとがき」にある。
画集としても価値ある贅沢な一冊だ。

高校生〜大人 25x20cm 47p

この記事が含まれる商品カテゴリ・特集

アーカイブ