'09年に出た本で印象に残ったもの その8

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『日曜日島のパパ』
ベッテル・リードべック/作 菱木晃子/訳 杉田比呂美/絵 本体価格1600円

スウェーデンの児童文学です。
ウ゛ィンニは8歳、ワンピースなど着ない元気な女の子。パパと夏休みの間だけ日曜日島で過ごす。友達のオッレと岩山から海に飛び込んだり、夏至のお祭りをしたり、島には面白くて優しい人がいっぱい。

一見パパと娘のほのぼのストーリーだが、パパはなかなかの偏屈で、普通よくある素直な話では終らない。
両親の離婚はもはや当たり前のテーマだが、パパが一人の男性として描かれていて、ウ゛ィンニがそこも理解しようとしている健気さとたくましさが感じられる。
児童文学が避けて通っていた男の「性」の部分も敢えて向かっているのか、なかなか隅に置けない作品だ。
絶対理解し合えないだろうと思っていた人と仲良くなる最後の展開も嬉しい。大人の私もちょっと興奮した。
シリーズ第一作ということで、続編が楽しみだ。小学校中学年から読めるが、ちょっとおませな高学年の女の子なんかに特にオススメ。

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