読み聞かせに向いている絵本 18          『戦争を平和にかえる法』

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今回はもう一冊、夏になると中高生に読んでやりたい絵本『戦争を平和にかえる法』をご紹介します。L・アームストロング著、B・バッソ絵、筑紫哲也訳・解説 本体価格1600円
 舞台は海岸の砂場、男の子(ジョニー)が砂でお城を作っている。が、そのすぐ側に、スージーという女の子(『レモンをお金にかえる法』ですでにお馴染み)もお城を作りはじめた。今にもイザコザが起こりそうだ。この状態は「潜在的紛争地域」というらしい。男の子は「あっちへいけよ!」と怒鳴るとこれが「論争」。スージーが怒鳴り返して「紛争」となり、その後「武力による抑止力」や「侵略」や「奇襲攻撃」など何やら物騒な用語が次々飛び出す。でもこれ、ぜーんぶ子どものけんかの話なんだ。
 ジョニーとスージーがすごい剣幕でやり合っているところに、ピーウィーという「中立」の男の子がやって来て、「話し合いによる解決」「和平提案」をする。だがふたりはどちらも気が強いようで、なかなか「歩み寄」らない。この辺の二人の表情はアメリカ人画家らしいデフォルメによってすごく面白く描かれている。さて、この二人どうやって「武装解除」し「平和」にたどり着くと思いますか?
 この絵本、最後に2008年に亡くなったジャーナリストの筑紫哲也さんが、皮肉たっぷりの、でも迫真の解説を書いている。これも読む価値がある。これを単に子どもの喧嘩と読むなかれということだ。絵本の最終ページにその意味が描かれているのですが、それは読んで人だけのお楽しみ。
 (百町森には20×16cm新装版と24×18cm大型旧版の両方とも取り扱いしています。価格は同じです。)

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