ニュルンベルク到着








今は、ベルリンからニュルンベルクに移動する列車の中です。列車は、憧れのドイツの新幹線ICE(Inter City Express)。これはT型と呼ばれるコンパクトな振り子式です。この路線は、カーブが多いためか、T型が投入されています。イモムシっぽい頭のデザインが可愛い車両です。
新幹線とは言っても、最高速度は160km程度、今は山の中なので、100km前後でしょうか。コンパクトな車体ですが、2等車で1列4席というゆとりの設計で、すわり心地もよく快適です。車内デザインがすみずみまでとてもきれいで、感激です。4つの席でテーブルを囲むエリアがひとつの車両に8箇所もあります。1等車にはセミコンパートメントがあったり、家族用のコンパートメントもあります(ベビーカーを連れたお母さんが利用していました)。先頭車両は2等なので、予約されていない席があれば座れます。ここも景色がよくて楽しい。
発車してすぐに弁当を食べた後、食堂車に行って、ビールやら、コーヒーやら、ミネラルウォーターなどを頼みながら、2時間以上過ごしたのですが、ここも窓が広くて気持ちのよい空間です。さっきお勘定して(どれも3ユーロくらい)席に戻りました。今は夕方の4時半で陽が沈みかけています。少し薄暗くなってので、車内照明が着きました。間接照明でこれがまたきれいです。
乗客もみんなくつろいでいますが、面白いのは、テーブル席でノートPCを広げている人が多いこと(動画を見ている人もいました)。
私は、車内の写真を撮ったり、先頭車両の運転席を見学したりして、ひとしきりやりたいことをやってしまったので、今はおとなしくこの原稿を書いています。柿田さんは隣で熟睡、相沢氏と前畑さんは、再び食堂車に行きました。まだニュルンベルクまで、2時間くらいあります。
ホテルに戻って、預かってもらったスーツケースを出して、タクシーを呼ぶ。いよいよ中央駅からICEに乗るのだ。さっき歩いたバウハウス資料館の前を通って、ティアガルテンの南に沿った Tiergartenstrasse を走る。途中、イタリア大使館や日本大使館の前を通り、フィルハーモニー、ソニーセンターの角で北に向かう。
タクシーを降りて駅構内に入る。スーツケースの転がり具合が変なので、車輪を確認すると、4個のうちの1個がない!どこで取れたのか?とりあえず、タクシーから降りた場所まで戻ると・・・車輪が転がっていた。とりあえずほっとするも、元に戻らないことが判明。残念。3ッ脚走行は傾きやすいが仕方がない。
ベルリン中央駅は、ワールドカップ開催に合わせて2006年5月に完成した最新の駅。もともとはターミナル駅だったレールター駅を、旧東ベルリンのベルリン東駅と、旧西ドイツのツォー駅の機能を集中させる形で根本的に作り直したらしい。地上3階は東西方向の路線の駅を、地下2階は南北方向の路線の駅を配している。ガラスを全面的に使った建築はモダンで、まるで空港のようだ。お店もたくさん入っているが、どれもきれい。スワロフスキーのお店もあった。
ICEのチケットは、私が日本で購入したもので、プリントアウトと、その時決済したクレジットカードを合わせて提示するシステムになっているらしい。念のため、トシコさんが案内所で確認してくれる。
地下のホームからICEに乗り込む。座席の窓側の電光表示が、「Berlin-Nuernberg」となっている。この区間はわれわれが指定しているという意味だ。先客が座っていたので、ドイツ語で「ここは私たちが予約していますよ」というと、英語で「スミマセ〜ン、ドイツ語ワカリマセ〜ン」との返事。私たちの前に座っていた女性が、彼に英語でペラペラっと説明すると、彼は理解したようだった。こういうちょっと困ったシチュエーションで、ドイツ人はさっと手を貸してくれる。親切だな〜。
13:52 ホームで見送ってくれるトシコさんを残して ICE1613 便は出発。トシコさん、お世話になりました〜。あっという間のベルリン滞在。列車はニュルンベルクを目指し一路南へ。
バウハウス資料館を出て、ホテルの方向へ戻る。途中で、ベルリン名物カリーヴルストを食べようという話になる。ソーセージを短くブツ切りしたものを軽く揚げて、それにケチャップとカレーパウダーをふりかけたものらしい。うまそ〜。
途中で本屋を見つけたので入る。これは書店員の性(さが)というものだ。私は「もじゃもじゃペーター」のパロディ、「もじゃもじゃヒトラー」を見つけたので即買い。ペーターほか主人公たちがヒトラーやナチス関係者になっている。
KaDeWeのはす向かいにあるスタンドが、Bio (ビオ:有機農法)の食材を使っていて、おいしいということなので、期待はふくらむばかり。しばらく並んで、カリーヴルスト、ビール、パンを購入。立食用のテーブルに置いて食べる。紙の器に盛られてケチャップがかけられている様子は、パッと見、たこ焼きのようなお手軽な雰囲気。食べてみると、少しカリッとしていてめちゃくちゃ美味しい。さすが、ベルリン名物、さすが Bio !もちろん、ビールも美味しく、パンも美味しい。ニュルンベルクには、ニュルンベルガー+パンというテイクアウトに適した名物ファーストフードがあって、これも最高に美味しいが、ベルリンのカリーヴルストも、負けず劣らずのおいしさ。
お昼時ということもあって、ひっきりなしにお客さんが来て、並んで買っては去っていく。我々も、食器やコップが風に飛ばされないように押さえつつも、カリーヴルストの旨さにひたるのであった。
食べ終えたら、あとはホテルに戻って、スーツケースをもらい、タクシーでベルリン中央駅へ。というスケジュール。カリーヴルスト・スタンドの裏には、雑誌や新聞を売っているスタンドがあって、数独の雑誌が何種類も出ていた。ヨーロッパでも流行っていると聞いてはいたが、こんなにたくさん出ているとは!おみやげに1冊買ってみる。
今日は7時に目が覚めた。目覚めはばっちり。昨日のような頭痛もない。よ〜し。とにかくまずは、アートヨガ1セットだ。
今日は、待望のバウハウス資料館へ行くのだ。みんなより出遅れてしまったが、シャワーを浴びて身支度をする。今回の旅は、電気製品(デジカメ、ICレコーダー、携帯電話、パソコン)をたくさん携行しているので、それらの面倒(充電、データをPCに移すなど)も見なくてはならない。慣れていないので、結構手間取ってしまう。
食堂に行くと、みんなすでに食事の終盤といった感じ。昨日と同様に好きな物を取って食べる。
ロビーでトシコさんと待ち合わせて、バウハウス資料館まで歩く。柿田さんの携帯電話がつながらないらしく、私の携帯でコールセンターに問い合わせて操作したら、上手くつながった。どうも、海外ローミングの接続先の電話会社の指定を自動にしていたのがよくなかった模様。裏通りを東に向かい、南北方向の大通り Schillstrasse に出る。
Landwehrkanal ランドヴェーエ運河を渡ったところにバウハウス資料館があった。「いつか行きたいね
」と柿田さんと話したのは何年前のことだったか。こうして本当に来てしまうなんて、自分でもびっくり。しかも、うれしいことにちょうど今、バウハウスチェスのデザインをした Josef Hartwig の特別展が開かれているのだ。このバウハウスチェスは、ここバウハウス資料館がネフ社に製作を依頼して、ネフ社から復刻版が販売されている。私自身とても気に入っている作品なので、この特別展にはとても期待している。
白を基調とした低層の建物は、周りと比べると控えめな印象。川のほとりという景観を生かした、静かな佇まいが好ましい。工場を思わせる屋根の明かり取りの凸凹が、直線でなく曲線というところがアクセントになっている。ただし、入り口の看板とポールだけは、赤青黄の3原色でド派手。でも落ち着きがある。入り口でしばし記念撮影。
さっそく、中に入る。ずっと奥まで通路が続き、ゆるやかな下りスロープの先に、ミュージアムの入り口がある。ここでもまた記念撮影(完全におのぼりさんである)。
入場料を支払って中に入る。地下のロッカー室に荷物を入れて戻る。入り口の向こうにガラスのショーケースがある。見てみると、ネフ社のキュービクス、オルナボやジーナ社のビブロス、ダネーゼ社の灰皿CUBOなどがある。値段が表示してあることを見ると、ミュージアムショップらしい。
しばしそこを見てから常設展示のコーナーへ。最初に大きなパネルがあって、バウハウスの歴史が説明されている。前畑さんとトシコさんは、音声ガイドの説明を聞いて、それを私たちに説明してくれる。1919年に生まれたバウハウスは、最初は手仕事・クラフトのための学校だったが、1923年に転機を迎え、芸術と技術をモットーにする。そういう目で展示作品を見ていくと、確かに1923年以前はクラフト色の強い作品が多いが、それ以後は機能美を追求したモダンなデザインが見られるようになる。ガラスや金属を使った作品に、それは顕著に見られる。最後は、バウハウス建築の模型が4点ほど、図面や写真とともに展示されている。
もう一つのコーナーは椅子と織物を集めている。同じマルセル・ブロイヤーの椅子でも、時代と共に進化していく様子がうかがえて興味深い。1924年はまだ木製の椅子だったのに、それが鉄パイプになり、パイプを曲げる技術によって、接合部が少なくなり、パイプの曲げ剛性を生かしたキャンティレバー式のクッションになっていくのだ。複雑なものが、技術の進歩と共にシンプルになり、デザインも洗練されていく・・・。ほかのみんなはとっくに先に進んでしまっているのだが、この「進化」の過程を本物で確認できるのが面白くて、つい長居してしまった。
そして、最後の展示室が、ヨゼフ・ハートヴィックの特別展だ。彼がデザインしたバウハウスチェスは、機能を極限まで追求する中から生まれ、バウハウスの考え方を最もよく表している作品だと思う。コマの動きを意匠に反映させるというアイデアは秀逸で、さらにそれがとても洗練された形に到達している。この完成度の高さは何だろう?今回の特別展では、きっと試作品なども見ることができるから、その秘密に迫れるのではないかと期待している。(しかしみんなすでに見終わっているか、もうすぐ終わりそうな感じ。ちょっと焦る)
部屋に入ると、あるある、いっぱいある。ガラスケースに収められた作品の数は10個ほど。なるほど、こんなにたくさんの作品を作っていたのか。しかも、最初の作品はかなり荒削りで、アイデアをそのまま形にしたような感じ。これが、いつも見慣れた最終デザインまで進化したとは!
予想外に試作品の数が多いのと、待たせては悪いので、図録を購入してそれを見ながら展示を見ることにする。1922年のモデル1から始まって、1924年のモデル16まで、16段階の改良をしたというのが、とにかく驚き。ひとつのステップごとに見ていくと、その改良の目的は明確でわかりやすい。コマの基本形を縦長の直方体から、立方体にしたり、ビショップの形を四角錐からX字型にしたり、座の部分を廃止したり・・・。こういった地道な改良の積み重ねが、後世に残るような完成度の高いデザインを生み出したのだ。当たり前だが、これこそが王道、近道はないのだ、ということを改めて実感する。
今の世の中で、このモデル16に相当するような「練りに練ったデザイン」が、どれほど存在するのだろうか。モデル7?下手するとモデル1のレベルのものでも、出回っているかもしれない。確かに、モデル1でも十分遊べるし、アイデアの素晴らしさは光っている。しかし、その後で、「もっとコマの動きが直感的にわかるように」、「もっと美しく」、「もっとコストを安く」できないだろうか?と問い続け、生産方法まで含めて検討し続けることで、最終形のモデル16に到達したのだ。その情熱がホントにすごい。
バスに乗るとあっという間に眠ってしまったらしく、気がつくとブランデンブルク門の横を通り過ぎていた。焦って降車ボタンを押して次の停留所で降りる。少し歩くとブランデンブルク門が見えてきた。ライトアップされていて、とてもきれい。夜のせいか、観光客はぜんぜんいない。
門をくぐる。近くで見ると、その大きさと美しさが迫力で伝わってくる。冬の夜の寒さの中で、ブランデンブルク門は凛としてそびえ立っていた。
門をくぐってから右に行くと、連邦議会が見えてきた。ガラスのドームも明るく光っている。議会前の歩道に、「壁」の跡を示す石が埋め込んであるのを発見。ガイドなどによると、壁の跡はできるかぎり、このように石を埋めてわかるようにしてあるらしい。
帰りのバスはどこから出るのか?よくわからない。反対方向には、立派なバス停があるのに、帰る方向にはバス停が見当たらない。???ちょうど反対方向のバスが来たので、運転手に尋ねると、やはり反対車線にバス停があるらしい。少し歩くと確かにあった。目立たなさ過ぎ!夜も更け、吹きさらしの場所でしばらくバスを待つ。ようやく来たバスに乗り込んで座ると、あっという間に眠ってしまっていたらしい。相沢氏が起こしてくれて、なんとか乗り過ごさずにすんだ。助かった。
トラムでポツダム駅に戻る。なんか小腹が空いたので、ホームのパン屋で甘系のパンを買って食べる。甘くてうまい。少し時間があるので,ベルリンのアンペルマンショップに行くことにする。
ベルリン中央駅の1つ東のフリードリヒシュトラッセ Friedrichstrasse 駅で、REからSバーンに乗り換える。駅構内にレバーケーゼの店があった。昨夜のヘビーな肉料理の中で、唯一あっさりしていて人気だったのが、このレバーケーゼ。昨夜の皿にはスライスされて乗っていたので、元の姿を見てみたかったのだが、意外にしっかりしていて重そうな外観だった。う〜ん・・・ゆうべはこれが軽く思えたのか・・・。他がよほど重かったのだろう。
ハッケシャー・マルクト駅で降りて、「ここを見つけた人がいっぱいいるんだよな〜」「発見者豊富!」「易者がいるかもよ」「当たるも八卦者〜?」などと言いながら、ハッケシャー・ヘーフェに向かう。ヘーフェ Hoefe とは、ホーフ Hof (中庭)の複数形。ベルリンには、中庭を囲む住居の1階が個性的なお店になっていることが多く、ホーフ文化とも呼ばれているらしい。ハッケシャー・ヘーフェは、中庭同士がつながっている。通路をくぐって次のホーフに行くと、また違った光景が現れる。商店街やショッピングモールなどの平板な空間とは全く異なる、複合的・重層的な空間を醸し出している。
お目当て(とは言っても行きたがっているのは私くらいだが)のアンペルマンショップは、一番奥のホーフにあった(アンペルマンについては、幼稚園見学のところを参照)。店に入ると、Tシャツやポスター、文房具やかばんなどがいっぱいある。4人の男たちは、最初は遠巻きに、しかし素早くおみやげ購入モードになって、店内をうろつき回るのであった。ちなみに私は、家族のTシャツ、布の袋と毛糸の帽子を購入。帽子のワンポイントには、緑バージョンと赤バージョンがある。ポーズが可愛い緑を購入。柿田さんは、お店のスタッフ用に小物をいろいろと買い込んでいた。さすが。
昼食を終えてツォー駅まで歩く。バスでもよいのだが、タイミングが悪いと待ち時間の間に歩いて行けてしまうところなので、どんどん歩くことにする。
ポツダム市へは、RE(Regional Express 地域快速)で。ちなみに今回は、5人用のフリーパスを購入しているので、バスや地下鉄(Uバーン)、Sバーン(StadtBahn, Schnellbahn:近郊列車、快速電車)などもみんな使える。ベルリンの場合は、中心部がA地区、その周囲がB地区、さらにその外側がC地区となっているらしい。ポツダムはC地区で、我々のパスはC地区も使えるとのこと。う〜ん便利。
改札を通ってホームへ。実際は改札というものはなく、検札の時にチケットを見せればすむ。無賃乗車も簡単にできてしまう訳だが、もし見つかると高額の罰金が待っているらしい。信用をベースにした大人のシステムだと思う。改札がないというのは、なかなか気持ちのよいものですよ。
ポツダムで電車を降りて、駅前からトラムに乗る。トシコさんが、乗り継ぎやらどこ行きの何駅で降りるかまで、下調べしておいてくださったので助かる。我々は付いて行くしかない。目的の停留所で降りると、林やはらっぱが広がるさびしげな場所。そこに直方体を基本としたデザインの建物が行儀よく並んでいる。停留所に Fachschule とあったから、専門学校かしら?この地区のどこかにめざす幼稚園がある。
少し道に迷いながらも無事到着。園長先生が待っていて下さる。園長室に上着と荷物を置いて、見学させていただく。子どもたちは、お昼寝から起きたところで、お迎えが来るまで遊んで待っているという感じ。今回の訪問の目的の一つは、デュシマ社の園用家具がどう使われているか、を見るということだ。まだ新しい保育室に、デュシマ社のシンプルで美しい家具が、きれいに収まっている。棚、テーブルや椅子、可動式のローチェスト、間仕切り、引き出し等々・・・。ドアなどの建具も、白木を貴重とした仕上げなので、よくマッチして違和感なく空間を作っている。
扉のある棚には、つまみのところに、赤い人のシールが貼ってある。尋ねると、これはアンペルマン(旧東ドイツの歩行者用信号で使われている人のデザインのこと。ベルリンには、このグッズだけを集めて売るショップがあるほど人気者)で、子どもが開けてはいけない扉には赤のアンペルマンが、開けてもよい扉には、緑のアンペルマン
が貼ってあるのだそうだ。なるほど。可愛〜い。
ごっこ遊びのための衣装部屋、創作遊びのためのアトリエ、ちょっとした料理をするためのスペースを設けたキッチンなどもある。
子どもたちのいる部屋に私たちが入ると、子どもたちの目が私たちに集まる。「こんにちは」と話しかけると、「こんにちは」と返事をしてくれる子もいた。そのクラスの子どもたちは、私の首のICレコーダーを見て興味を持った様子。少し再生して聞かせると、録音できることがわかったらしく、歌を唄ってくれる女の子もいた。
最後に、職員の休憩室で、園長先生と面談。保育内容や保育の方針についてお話を伺う。日本の様子にも興味があるようで、色々な質問があった。ちょっとした、日独保育事情交流の時間であった。まだ、お迎えを待つ子どもたちがいる中、幼稚園を辞する。(幼稚園見学の詳しい話は相沢の報告に譲ります)
本日の予定は、午前中は、ベルリン市内の見物、午後は幼稚園見学、夜は那須田淳さんと夕食。ベルリンは見所の多い街で、地域も分散している。いわゆる観光名所だけを見て回るだけでも1日ではとうてい無理なところを、半日で見るのだから、ぐぐっと絞り込むしかない。結局、ベルリン市内でネフを扱っている3店のうちの2店( KaDeWe, Stilwerk ちなみにもう1店は明日訪れるバウハウス資料館)と、私がネット上で見つけた一番よさそうな子どもの本とおもちゃの店に行くことにする。
9時半、ロビーにトシコさん登場。まずは、近くのデパート KaDeWe へ。昨夜、トシコさんのお連れ合いのカーステンさんが教えてくださったように、ヨーロッパ最大のデパートである。外観も立派で品格がある。玄関から店内に入ると、玄関ホールにはドンペリの特設コーナーが展開されている。空間の使い方を含めディスプレイが素晴らしい。「ネフならきっとおもちゃ売り場だろう」ということで上に上がっていく。
しばらくして、トシコさんが、「下のフロアにあるかも」と聞いてきてくれたので移動。おもちゃのフロアではなく、デザインに優れたキッチン小物やインテリア用品などを売っている。すると見えてきました。ネフ商品が集められたガラスのショーケースが。キュービクス、セラ、アレーナ、レインボウ、キーナーモザイク、アゴンといった定番品に混じって、スカラ、カテナ、ピラミィといった廃番品もある(しかも値引きされている・・・)。バウハウス資料館があるせいか、バウスピールや、バウハウスコマ、バウハウスハンペルマンもある。ショーケース一つとは言っても結構たくさん飾ってある。
KaDeWeを出て、バスでクーダムを西へ。次は、子どもの本とおもちゃの店だ。どこに行っても、ついこういった店に行きたくなるのは、やっぱり好きだし楽しいから。事前にインターネットで20軒近く調べた中で、一番ピンと来た店。どの店もサイトでの紹介は簡単で判断しにくいが、それでもなんとなくの雰囲気は伝わってくる。木製おもちゃに力を入れている店もあるが、なんとなく気持ちが伝わってこない。その中で、絵本の紹介がしっかりしていて、私たちがお薦めする本に近いものがあったのが、この店なのだ。もちろんおもちゃも置いてある。そのカンが当たるかどうか、自分自身も興味津々。
本のコーナーの奥の階段を3~4段上がると、小さなスペースがあって、そこにも本と、子ども用のいすが置いてある。ゆっくり落ち着いて過ごせそうな感じ。ボードゲーム、カードゲームも充実。「3Dカタン」を見つけて狂喜するが、それでも値段は半端じゃない。柿田さんに相談して、店のものとして買うことになった。バンザイ!さらに、アレックス・ランドルフさんのデビュー作「ツイクスト」もお願いする。
あとからみんなを追いかけて下の階へ下がると、さっそく4階の「Design und Handwerk Plattform」で発見。木製タイルが市松模様に並ぶ床に、ガラスのショーケースが並ぶ不思議な空間。ネフはそのうちの1つのショーケースに飾られていた。ここは現行品のみ。しかも値引きされている。う〜ん、売れないのだろうか・・・残念。
幼稚園のあるポツダム市への電車の時間が迫ってきたので、1Fのイタリアンで昼食。昨夜のドイツ料理とは打って変わって、軽めであっさり。おいしくいただけました。
朝4時頃目が覚める。飛行機疲れなのか、夕べのお酒が残っているのか頭が痛い。グリューワインがいかんかったかな・・・。眠くはないので、とりあえず、アートヨガ基本メソッドを2セットを念入りにやる。
バスルームの浴槽には残念ながら栓がない。ゆっくりつかることは無理そうだ。
朝食は7時から。相沢氏は早々にシャワーを浴びて、食堂へ。私もシャワーを浴び、洗面で下着を洗って、バスルームに干してから食堂へ。相沢氏はいつもの通り、全ての食材に手を出している。このエッグスタンドが気に入ったみたい。
食パン型の四角いパンと、トースターがあったので軽くトーストする。もちろん、ドイツの典型的な朝食、丸パン+ハムもいただく。実に美味しい。
部屋に入ってしばらくすると、カーステンさんが来てくれた。カーステンさんは、百町森の古いお客さんで、柿田夫妻の知り合いのトシちゃんの旦那さん。ベルリン住まいで、日本語も上手なんです。夕食をご一緒して下さるということで、お忙しい中駆けつけて下さいました。
まずは典型的なドイツ料理を食べよう、という我々の希望で、オイローパセンターにあるレストランへ向かう。ヨーロッパ最大(ただしイギリスは除く)のデパート KaDeWe ( Kaufhaus des Westens) カーデーヴェーの前を通って、西へ向かう。オイローパセンターの西隣にあるカイザー・ヴィルヘルム教会を、食事の前に見ることにする。第2次世界大戦中の爆撃の後をそのまま残す旧教会と、モダンな新教会が並んで建っているとガイドブックなどで読んでいたので、外からだけでもぜひ見てみたいと思っていたのだ。
旧教会のそばまで来て見上げると、とにかくその大きさに圧倒される。そして、深くえぐられた爆撃の痕が、街の照明で薄暗い中、重苦しく浮かび上がっている。街の中心地に、この傷跡が残されている。隣の新教会は、ステンドグラス貼りの八(?六?)角柱がすっくと建ったモダンなデザイン。これがドイツか・・・。ドイツに来て、いきなり強烈なパンチをくらった気がした。
しばらく見てから、オイローパセンターへ。お目当ての店が閉店間近だったので、別のフロアの店に入って、丸テーブルに座る。とにかくビールを頼む。Pils ピルス、Hefeweizen hell 酵母入りのヴァイツェン、Dunkel 黒など。みんな0.5リットルだけと、カーステンさんは1リットル、さすが。
料理はしばし検討し、1人1皿だと絶対多いから、あれとこれと・・・・などと悩むが決定打出ず。結局、色々な肉料理の盛り合わせ2人用というのを頼んで、また後から追加しようということになった。ところが、出てきた皿の大きさと盛られている量にみんなびっくり。これが2人前か!?普通のソーセージ、血入りのソーセージ、レバーソーセージ、骨付き豚肉アイスバイン、レバーケーゼがどーんと盛られている。5人がかりでいただくも、次第にペースが落ち、結局食べきれず残すハメに。「後から追加」なんて今となっては笑い話。ドイツ人のカーステンはさすがにたくさん食べて、ビールもおかわりしていた。力つきて皿を見ると、まるで戦のあとのようなので、カーステンにそう言うと、「この料理の名前はまさにそう言う意味なんだ」と言う。schlachten とは、家畜を殺すという意味らしい。
この皿を2人でたいらげてしまうとは!何かが根本的に違うような気がする。これもまたドイツなのだ。
以前から飲みたかったグリューワイン(赤ワインに香辛料を入れて温めたもの)を飲んで、店を出る。野次馬精神で、別フロアのカラオケ屋を通る。大きなスクリーン付きのステージの上で、サッカーチームの応援歌を歌っていた。ほかの客も、歌ったり歓声を上げたりして、みんなで盛り上がっている。開放的な明るいカラオケ文化である。カラオケ屋から出て、オイローパセンターの入り口へ。すれ違ったドイツ人グループが「カラオケ」なんとかと話している。彼女たちもあの店に行くのだろう。
ガラスケースの中に展示されている「壁」の前で記念写真を撮って、ホテルへ戻る。
夜11時ごろホテルに戻る。自宅に電話をしたいのだが、上手くかからず、マニュアルを読んでみる。でも眠くて眠くて…かけながら眠ってしまう。何度やってもだめなので、あきらめて寝ることにする。明日の朝、クリアな頭でやってみよう。
国内線に乗ること約1時間。途中、一度だけ飲み物のサービス。
19:55 ベルリンの北西にあるテーゲル空港に到着しました。タクシーを拾ってホテルへ移動。途中、シャルロッテンブルク城の脇を通り、ツォーロギッシャー駅をくぐり、カイザー・ヴィルヘルム記念教会、動物園入り口を眺めつつホテルに到着。とにかく荷物を部屋に入れる。
部屋は、1つ目のドアを開けると、短い廊下があって、2つの部屋のドアと、バスルームのドアがあるというタイプ。2部屋で、バスルームを共用するわけだ。相部屋は、柿田+前畑と、相沢+佐々木という組み合わせ。
13:15に成田を発ち、飛行機に乗ること約12時間半、飛行機の中では、食べて、飲んで、眠って、メッセの準備をして、トイレに行っての繰り返し。柿田さんと、相沢氏は基本的に読書。前畑さんはDS。そのうちドイツ語に飽きて、タイ語の勉強を始めてしまう(笑)。
席も狭く、時間も長いのでなかなか辛いものがあります。途中の体操も真面目にやったり、途中から見始めた「カーズ」が意外によくて、感動したりしているうちに、日本時間の翌日1:45(ドイツ時間の当日17:45)に無事ドイツ・ミュンヘン空港に着きました。ここで、時計を現地時間に合わせます。
約1時間後にベルリン行きの便に乗り換えます。搭乗口を確認した後は、軽食コーナーのようなところでビールを飲んだり、お店を見たり。メニューや店員の言葉がドイツ語なので、ようやくドイツに来たんだな〜と実感。
おもちゃ屋で早速鉄道のトランプを買う。ここは、セレクタやハバの棚がどーんと置いてあった。ゲームもそこそこ置いてある。他にも、ラベンスバーガーのパズルや絵本、レゴなどおなじみのおもちゃがいっぱいある。
搭乗時間が近づき、搭乗口近くに移動。休憩所の無料コーヒーやら、ドイツ語の新聞やらをありがたくいただく。18:45ベルリン行きの国内線で出発。
東京10:03発の成田エクスプレスに乗る。相変わらずいい感じの車内デザインだが、8年前ほどの感慨はない。やはり時代とともに魅力が失せてしまうのだろうか・・・。今回の旅では、憧れのドイツ新幹線ICEに乗る予定なので、果たしてどんな車内デザインなのか、とても楽しみです。
両替窓口で8万円分ユーロに両替する。最初は少なくてもよいかな?とも思ったが、面倒なのでまとめてやることにする。レートは 161.07円で490ユーロ、これで最後まで保つといいけど。
免税店で相沢氏はハイライトを購入。搭乗前に食事をしようということになるが、ゲートに近づくにつれ店が激減。前畑さんは「うどんを食べたい」と言うが、そもそも店がない。相沢氏は、ゲートに一番近い喫煙室付きの軽食レストランに、スススス〜ッと吸い寄せられて、しばらくメニューを眺めた後、「おい、うどんもあるよ!」。全員、にこやかにお店に入ったのでした。
いよいよ飛行機搭乗。ルフトハンザのドイツ的なデザインは実にいい。私の記憶では、フロッグデザイン Flog Design の仕事だったと思う。私の最初のパソコン、Mac SE/30 も彼らのデザインなのだ。8年前からリニューアルしているかどうか知らないけど、相変わらずいいと思えるというのは凄いことだ。
13:15 定刻通りに飛行機は出発。いざドイツへ。
今朝は8:30に新幹線のホームで待ち合わせ。今回の旅のメンバーは、柿田、相沢、私の百町森3人+イメージミッションの前畑さんの男4人組です。
慌ただしくて、「ドイツへの旅」という実感はまったくわかないのですが、とにもかくにも朝8:45のひかりで静岡を無事出発しました。スーツケースを置いて身軽になると、四者四様(笑)の新幹線の旅です。柿田さんは、那須田淳さんの「一億百万光年先に住むウサギ」を読み、相沢氏は「イラスト会話ブック ドイツ語」で挨拶の復習、前畑さんはDS版「旅の指さし会話帳 ドイツ語編」にいそしんでいます(基本的な使い方がわからないので2人で四苦八苦しています)。
とにかく、今度の旅のブログを立ち上げてみました。
果たして上手く更新できるかどうか、不確定要素もいっぱいですが、とにかくやってみます。