くるみ割り人形や煙出し人形、キャンドルスタンド、そしてキリストの生誕をモチーフにしたクリッペ…これらの多くは、「おもちゃ発祥の地」のひとつであり、ドイツ人の「心のふるさと」でもあるエルツ山地で手づくりされています。クリスマスの時期には、こういった工芸品がテーブルや窓辺に飾られます。

心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。

サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。

(松岡享子「サンタクロースの部屋」より)

キリストの生誕の場面をあらわした「クリッペ」。クリッペとは、馬のえさを入れる桶を意味し、キリストのゆりかごにしたことから、そう呼ばれます。静かで温かい雰囲気を持つクリッペは、クリスマスのムードを高める最もクリスマスらしいおもちゃです。

キリスト教国のドイツでは、子どもの時からクリスチャンとしての生活をします。クリッペは、聖書の一場面を伝え、幼いうちから信仰心を育てるための大切なもの。アドベント(待降節)に入ると居間に飾られる、クリスマスで一番大切な飾りなのです。