ヴィボについて語ろう

●参加者:柿田友広、相沢康夫、佐々木隆行
●記録者:川島眞弓
●日時 :1999年9月4日(土)
●場所 :百町森おもちゃ村

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■ネフ社の他の積み木との相性は?■

柿田:いきなりですけど、新しいパターンを考えついたんです。ヴィボをこう立たせたいって所から始まったんですけどね・・・。何かうまくいかないかなー。
相沢:組み合わせるなら、ダイヤモンドがいいはずですよ。
柿田:あっ、そうだね。仮に例えば、こういうことですよ。
相沢:そうね、それで、この両側を抜くんだね。
柿田:いった、いった。
佐々木:いきなり、オープニングにすばらしい芸ができましたね。
柿田:ホントぴったりですね。なんで、ヴィボとダイヤモンドがこれで合うわけ?



ダイヤモンドと

キュービクスと
ネフスピールと
騎馬戦
相沢:ヴィボは、ダイヤモンドと一番相性がいいんですよ。ダイヤモンドの小さい方から2番目のパーツを2つくっつけて並べて、その上にヴィボを乗せるとぴったり合うんですよ。
佐々木:あー本当だ。すごいね。
相沢:それとね、2番目と3番目のパーツの側面と、ヴィボはぴったり同じなんですよ。
柿田:ふーん、他にどうやったら、ヴィボと高さが合うかな?
相沢:また、数学でちょっと計算してみますよ。そういうの大好きなんだ。
佐々木:つまりこれなのね。(ダイヤモンドの小さい方から5つのパーツを横に置く。)
柿田:あ、ここ平行なんだね。じゃ、これでどうかな?
相沢:そうそう、ぴったりするはずですよ。ダイヤモンドで、一辺7.5cmの正8面体を作った状態ですよ。
柿田:うーん、これいいね。いきなり、立っちゃう。
相沢:うーん、いきなり、立っちゃう、すこぶるいい女って感じ。(笑)
柿田:あれ、でも少し高さがあってないかな?
佐々木:ちょっと、違うかな?
相沢:そうだね。どこかでは、絶対合うはずなんですよ。最小公倍数で計算してけば、どこかできっと合うんです。
佐々木:相性というのは、数学的には最小公倍数が小さいってことになるんですよね。
相沢:そうですね。
柿田:結論としては、この2つは、相性がいいってことだね。
佐々木:他のネフとの相性はどうかな?
相沢:例えば、キュービクスとこういう感じだったら、いいんだよね。
佐々木:なるほど、これは合うんだよね。
相沢:ネフスピールとこれは合う。でも、これから先どうするっていうのはちょっと難しい、と私は思うんです。
佐々木:なるほどね。
川島:でも、ヴィボは他のものと組み合わせなくても、単体で十分面白い積み木ですよね。
(*後日、ついに柿田氏の考えた新しいパターンが完成! 『騎馬戦』のパターンです。)


■ヴィボ誕生秘話■

佐々木:言うまでもなく、ヴィボは相沢氏の作品なんだけど、デザインのきっかけとか聞かせてもらえますか?
相沢:作者として、ヴィボを語るとするとですね、最初の発想は、和久洋三氏と話していたときにね、彼が「三角形は積木にならないからね。」って言ったことからなんですよ。日本の構成玩具作者の第一人者がそういうことを言うのは面白いなって思ったよね。例えば、パターンブロックを使って、子どもは三角形を作ったりするでしょ。だから、積めないって言い切っちゃうのは何か違う気がしてね。だから、作れないはずはない。三角形の積木を作ろうと思ったんですよ。
 もう一つのきっかけは、正方形からはなれようと思ったこと。積木を考えると、立方体、直方体があって、水平面の床に水平の積木を置くというのが一番積みやすい。そこを離れたいと思った。これは、ピエール・クラーセンと会ってから、思ったことです。立方体を30年研究してきて、極めているクラーセンを越えられるはずはないので、そこを切り捨てて、何とか三角形で、60度の積木を作りたいと思った。この2つがヴィボを産んだ訳です。
 それで、まず、積むことを考えると必ずへこみがいると思ったんですよ。で、最初は、こういう形を考えた。でも、これじゃ積めないので、ここを切ることになった。
佐々木:正三角から平らな面を作ることと、へこみを作るという2点がヴィボのポイントだね。
相沢:言葉にすると簡単だよね。でも、ここに至るにはいろんなプロセスがあった。最終的には、2・5cmの正三角形を9個並べて、そこから、2つを取り除いて、7個でV字を作るという格好になった。
佐々木:ラッキー7だね。誕生秘話ってことですね。
相沢:最初ね、このVのへこみを埋めるパーツ(2・5cmの正三角柱)を付けるかどうかですごく悩みました。アングーラのジョイントみたいなものだけどね。そうすると、どういう風にも積めるようになるんだけどね。最終的には、それを付けるのを止めたわけだけど、それは、ある種の制約の中でそれを越えること、発見していくことがおもしろいかな?と思ったんですよね。こうは積めない、でも左と右に乗せるとうまくバランスが取れるとかね。

佐々木:ディアボも三角形を使っているよね。
相沢:でも、ディアボは、直角2等辺3角形からきてます。私の言う三角は60度の正三角形から出発してる。ホスはこれ、三角と思っていないでしょう。で、これ、ちょっと無理があるんだよね。ここがルート2になっちゃうからね。これは、これでいいんだけど、積木遊びとしては、ぱしっと合う快感がない。ヴィボは正三角形が基本だから、どうやっても合うんだよね。アイデアノートに色々書いてる段階で、ぴったり合うことを確信して、よし、これで試作品を作ろうと思った。アイデアノートで書いた9割はボツですからね。残りの1割から、試作を作って、それから選んでネフに送り、その中でまた削られて、残ったものがやっと製品化されるわけですよ。
佐々木:ネフのヘキサグラムとはどう?
相沢:そうそう、この部分を取ったのがヴィボですよ。
佐々木:この2つ基尺が合えばいいのにね。

相沢:ネフのカタログを見ると、伝統的な形でないところからできたみたいな解説が書いてあったよね。
川島:えっと、「伝統的な考え方のパターンから離れて、抽象的な形や3次元で組んだりするととてもおもしろい」っていうようなことが書いてありますね。
柿田:ネフの積木はだいたい伝統的なものから離れているはずなのに、その中でもヴィボがさらに、伝統的な考え方から離れるともっと面白いって言ってる所が、すごく画期的だよね。
相沢:私の意図がよく伝わっていてうれしいですね。


発売当初の色

現在の色

■ヴィボの面取りと塗装の話■

柿田:さっきの、ヴィボを角で立たせる積み方に戻るけど、ここを面取りすれば、もっと積みやすくなるかな?
相沢:うん。でも、この面取りするかどうかっていうのは、難しい問題でね。
川島:ヴィボは面取りしない方が美しいと思うけど・・。
相沢:そうだよね。
佐々木:ここに、ぴったりはまるところがいいですよね。
相沢:この前ネフに送った、私の新作のシュライフェ(蝶ネクタイ)って積み木は、考えて、一カ所は面取りしたんですよ。
川島:あれは、その方が良かったですよね。
佐々木:面取りするかどうかって面白い課題だよね。ヴィボは、正確に言うと糸面取りだよね。
相沢:そうかな? 塗装の関係でこう見えるんじゃないかな? 糸面取りって言うより、ペーパーで磨いてるんだと思うよ。ネフの工場で、それ専門のおじさんがいたんだよ。
佐々木:ペーパーでやるって結構難しい作業だね。

佐々木:ヴィボの色についてですが。最初のバージョン(アゴンカラー)から今の3原色に変わった経緯を聞きたいね。
相沢:私が、試作品に付けた色は、緑、紫、オレンジでした。これは、赤、青、黄色(三原色)から最も遠い色(補色)なんです。その理由はね、ヴィボは90度を基本にしていないという点で、遊べる子どもの対象年齢を高く設定したんです。具体的には5歳以上だと思っていた。そうしたら、ネフが同時期に新発売の積木としてアゴンを出すということで、フレッド・ホスと相沢をどう見たかはわからないんだけど、デザイナーは変わっても、アゴンとヴィボを兄弟のような位置づけに考えたと思うんだ。塗装の価格面での計算もあったとは思うけどね。で、アゴンの4色のうち、深い青緑を除いた緑と青と黄色の3色を使ったということです。
佐々木:でもこの最初の色、いいよね。
川島:うん、すごく、きれい。大人受けするよね。
相沢:皆さんそう言って下さいますよね。
川島:色を変える時、ネフ社から変えたいって話があったんですか?
相沢:変える前に、打診がありましたね。結果としては、最終的に私が考えた色から最も遠い、赤・青・黄色になった。つまり、ヨーロッパの積木の最もポピュラーな色だよね。日本では、白木の積み木が多いけどね。ヨーロッパではおもちゃの色の順番って決まっているんですよ。まず、赤・青・黄色の三原色で、その次の色は緑、その次はオレンジ、というのがヨーロッパでは原則ですよね。赤・青・黄・緑はブリオカラーとも言われてますね。
佐々木:5色のおもちゃの典型がベビーボールだよね。6色のもは何があるかな?
相沢:紫が入って、パリですね。最終的に、そのヨーロッパの基本色に私の作品がなったということは、作者としてはとてもうれしく思っていますね。最初5歳以上の対象年齢と思っていたのに、作品として遊びだしたら、2歳の子でも十分遊べた。だから、ネフ社がこの色にしてくれたってことは、すごくうれしいよね。
佐々木:アゴンなんかは、わざとその基本色をはずしてる訳ね。
相沢:そう、アゴンは対象年齢が高いんですね。小さい子にはこれ危ないしね。
佐々木:あと、この塗装のざらつきについてはどう?
相沢:これは、作者の意図を十分くんでくれているんですよね。例えばこの積み方は、摩擦係数の高い最初のうちしか遊べない。遊んでいると、つるつるしてきてできなくなるよね。このざらつき塗装の最初は、ツェタとクアドリゴですね。ヴィボ、アゴンが出る前くらいの年の新顔の積木だよね。この2つと同じ塗装ですよ。






佐々木家の子の作品

■子どもはどう遊ぶ?■

相沢:ところで、さっきーの所のご子息は遊んだ?
佐々木:うん、まず平面で遊びましたよ。とにかく、このへこみに出っ張りをつっこむって形。へこみに出っ張りを入れて、とにかく合う所を見つけては、平面で並べる。
相沢:うん、なるほどね。
佐々木:あと、積むのも私がやっているのを見て、やりましたよね。
相沢:こうは、置こうとしなかった?
佐々木:それはやらなかったね。
相沢:子どもってこう置きたがる時期があるんですよ。
佐々木:ちょうど写真がありますよ。
相沢:そうね、2歳だと平面の時期だよね。例えば、こうするのは嫌がる。今、いくつ?
佐々木:3歳です。ほら、こんなのもある。
相沢:なるほど。ちゃんと積んでる。3歳の時期だ。うん、自然の発達を遂げてるって感じですね。まず、平面のパターンで遊ぶ。それから、積むようになる。立てた状態で平面(2次元)にするんだね。次の段階でパーツの一つの向きを変えて、3次元へ。それから、バランス積みへといく訳です。で、ある時期、こっちの概念を越えた積み方をしたりしてね。今、そういう自然の発達ができてない子っているよね。

柿田:「ぎんのさじ」(車山高原のペンション)にヴィボが置いてあるでしょ。これがすごく遊ばれているんですよ。パターン表を見て子どもが作り始めるのが、きっかけですよね。ペンションに置くことを考えると、これパーツが大きくてなくなる心配がないからすごくいいですよ。たまに、「ぎんのさじ」に行くと、ぼくも遊ぶんだよね。これは、一つ取るとバランスが崩れるっていうのがすごくできやすい積木ですよね。
相沢:うちの子も、最初にバランス積みを発見して、すごくよく遊んだよね。
佐々木:バランス積みができやすいってことだよね。例えば、こういう載せ方だね。
柿田:それとね、息子とよくやった遊びですけど、180度の点対象の遊びです。例えば、ぼくが最初にこの3つを置くと、息子が対象に
なるように3つ足す、そして、次に3つ、また3つと置く。でここまできたら、最初の3つを取って、またつなげていく。
相沢:これはアゴン遊びと同じですよね。
柿田:そうそう。
佐々木:何ですか? それ。
相沢:ブロックマンが来たときにね、紹介してくれた遊びですよ。アゴンには同じパーツが4種類2個ずつあるんだけど、その中から同じパーツを2つ取って、面および角度がぴたっと合う別の位置に置く。それを繰り返していくんですけどね。結構おもしろいんだね。これは、複数でやるゲームみたいなものでね。

佐々木:ヴィボってアニマルパズル(オルナボ)用の箱にぴったりはまるんだよね。この箱に収めるのも、小さい子の遊びとして結構おもしろいよね。
相沢:百町森のオリジナルの箱だね。オルナボが、一辺3・5cmだからね。
柿田:17・5×17・5の箱にぴったりはまるんですよ。ヴィボの箱がぼろぼろになった人は、ぜひこの木箱おすすめですよ。

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