トイメーカーを訪ねる旅2004 その4

デコア社

スイス・デコア社は、シュタイナー教育のメッカ、ドルナッハにあり、ゲーテアヌム(教員養成所)にほど近い場所に位置する会社です。デュシマ社やニック社を見学したあとに見るデコア社は、それはそれは小さな工房でした。

ちょうど日本の木工所という感じですね。自分のデザインしたおもちゃの試作や製作を木工所に依頼することも多いので、デコア社は妙に懐かしい感じがして仕方ありませんでした。

材料置場

デコア社の製品で知られたものとしては、「はめ絵」があります。他に「赤い手回しオルゴール」や「ジグソーパズル」のグリムシリーズなどがお馴染みでしょうか。早速工場の中へ入ってみましょう。

その規模や雰囲気が日本の木工所に近いと前述しましたが、日本のそれと決定的に違う所は清潔さだと、私はまず思いました。もちろん木屑やオガクズは製作過程で出るのですが、きっとこまめに掃除をしているに違いありません。

私達が見学した時には、ちょうど「はめ絵」を作っていました。案内をしてくれたトテヒスリン社長はそのプロセスの一部始終を、順を追って見せてくれました。

1.木材を直方体に切り落とします。
2.動物の形のスタンプを押します。
3.糸鋸(ジグソー)で形に添って切り取ります。この時糸鋸の刃が最初に入る部分に切れ目が生じます。

糸鋸で切り抜く

4.動物のパーツのバリを、サンドペーパーできれいに取ります。
5.塗料に浸け着彩します(ドブ浸け)。

ドブ漬けで着彩

6.乾燥後、スプレーガンで透明の水性ラッカーを吹き付けます。
7.さらに乾燥後、回転する布地にあててならします(バフがけ)。
8.もう一度仕上げに透明水性ラッカーを吹き付けて、動物は完成。
9.さて、3で切り取られた動物の外側のパーツですが、一ヶ所切れ目ができていました。この切れ目に薄く小さな板をはめ込み接着します。

枠の切れ目を板で埋める

10.この板のはみだした部分(耳)を切り落とし、ペーパーでならした後、6→7→8と同じ工程で、透明水性ラッカー仕上げをします。

どうです? すごい手がかかってるでしょ? デコア製品の品格あるツヤはこうして生まれていたんですね。見ている私は、もうすっかり感心するやらあきれるやら。そう言えば、その昔は、外側のパーツは一部切込みが残されたままだったな・・・。今の社長になってから、この部分を木でうめるようになったとのこと。ウーン、素晴らしき職人気質!

これだけ枠が並ぶと壮観

さて、小さな工房のデコア社を見学して、私はなにか心底ほっとする思いがしました。と言うのは、ヨーロッパの物作りの原点がここにある、という確信とそれが今だ健在だという事実に感動してしまった訳です。

完成間近のおんどり

まずデュシマ社、次にオストハイマー社、ニック社と見学してきて、私はヨーロッパまたは世界で、木製玩具が生き残るには規模を大きくして、他社を買収したり、商社も兼ねたりしなければダメなのかな?と思い始めていたのでした。でも、デコア社を見よ!腕一本、技術のみでちゃんとやってるじゃないか。がんばれデコア! ・・・という熱い想いを胸に刻むアイザワでありました。
木々の緑に囲まれ、ゆったりと静かな時間が流れる

(相沢)
訪問日/2004年10月5日
所在地/スイス・ドルナッハ

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