きりのなかのはりねずみ


  • きりのなかのはりねずみ
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子ども向きの文化を考えてみると、優れた作品といわれるものは、絵本であれ、おもちゃであれ、決して子どもを馬鹿にせず、同時に媚びもせずに作られている。そうして作られた作品は、子ども向きであっても、結果的には大人にも充分楽しめる・・・・これは、私の信念とも言うべき持論である。私自信がおもちゃを創作する時も、このことはいつも肝に命じている。ホフマンの絵本、ル・グウィンの児童文学、手塚治虫の漫画、クラーセンの積木・・・・思えば、私がこの信念にたどりつくきっかけになった作品が、各分野に必ずあった。目から鱗が落ちる時というのは、鳥肌モノの感動と共に、その分野に対するそれまでの自分の認識の甘さを思い知らされる瞬間でもあった。

さて、アニメの話である。ロシアのユーリ・ノルシュテインの作品、特にこの「霧につつまれたハリネズミ」を初めて観た時、私はまさにこの感慨を味わった。アニメーションそのものを、お子様ランチ風に考えていたそれまでの自分を恥じた。アニメってこんなに素晴らしいものだったのかと、認識を改めた時から、私の”そしてアニメの日々”は始まったのである。

ハリネズミは毎日友達のクマの所へ行き、一緒にお茶を飲みながら星を数えるのを日課にしている。(この設定がいい。なんて幸せで豊かな世界なんだろう。)でも、ある日クマの所へ行く途中で霧に迷ってしまい、そこで今まで見たことのない世界を体験する。物語は至って単純で明快である。全編を通して優しさが満ちあふれ、この世界にはきっと「いい奴」しかいないんだな・・・・と思えてくる。切り紙と部分実写の、全く違和感のない映像が良い。ハリネズミは本当に可愛い。作者はこの作品について「世界が神秘に満ちていることを感じてほしいし、急がなくてもいいから、人生は何か、ということも考えてほしい」と語っている。確かにそれだけの材料が、このたった十分のアニメにはあると、私は思うのである。

(あいざわやすお/おもちゃデザイナー、『母の友』(福音館書店)'95年9月号より)

この文章は『母の友』(福音館書店)'95年9月号に載せたものである。

私が世界一好きなアニメーター、ユーリ・ノルシュテイン。彼のアニメ作品のビデオやレーザーディスクが入手困難になって久しく、私はたいへん残念に思っていた。そんな折り、『霧につつまれたハリネズミ』が絵本という新しいメディアに生まれ変わって登場した。もう、うれしくてうれしくて早速一冊購入して読んでみた。最高!

いわゆるアニメブックと言われる。アニメのセル画をそのままレイアウトしたイージーな作りではない。全画面、描き下ろしによって、新たな生命を得た・・・・というのが、私の印象である。アニメを知らない子ども(や大人)が読んでも充分に楽しめる絵本だと思う。

(相沢康夫)

日が暮れると、はりねずみは、友だちのこぐまの家へ出かける。一緒に星を数えて夜を過ごすのだ。途中、白い馬を見つけて、はりねずみは、霧の中へ入って行く。深い霧の中で、道に迷ってしまったはりねずみは、こわい思いをしながら、あちこちさまよって、とうとう川に落ちてしまい…。世界的に評価の高いロシアのアニメーション作家の初めての絵本。詩情あふれる美しい世界が展開する。

著者プロフィール

ユーリー・ノルシュテイン Yury Norshteyn

1941年、ロシア・ペンザ州アンドレーエフカ村(疎開先)で生まれる。1943年からモスクワ在住。1961年にアニメーション美術上級コースを卒業し、アニメーション連盟に就職。絵画に転校しようと美術学校入学の試験準備を始めるが、セルゲイ・エイゼンシュテイン全集に触発され、アニメーション監督の道を選ぶ。(エイゼンシュテインはソ連映画の開拓者で、モンタージュ理論により映画芸術に大きな功績を残した人物)アニメーション作品としては、「きつねとうさぎ」「あおさぎとつる」「話の話」それと、本書のもとになった「きりのなかのはりねずみ」などがある。現在、ゴーゴリ原作の「外套」のアニメーションを製作中。

セルゲイ・コズロフ Sergey Kozlov

1939年、モスクワ生まれ。現代ロシアを代表する児童文学作家。1962年に最初の本「おひさまがこわれた」を発表して以来、子供のためのお話、詩、自然や動物についての短編など30冊以上の本を執筆し、世界各国で翻訳出版されている。日本で翻訳出版されたものに「ハリネズミくんと森のともだち」(岩波書店)などがある。

フランチェスカ・ヤルブーソワ Francheska Yarbusoza

1942年、アルマータ(カザフスタン)で生まれ、モスクワで育つ。普通の学校に通うかたわら12歳から美術学校に通う。1967年にモスクワ映画大学美術学科を卒業。アニメーション連盟に就職し、アニメーションの美術監督として働く。ノルシュテイン監督による作品「きりのなかのはりねずみ」、「話の話」の美術監督として繊細で美しい映像を実現する。ノルシュテインとは、私生活でもパートナーである。

こじまひろこ 児島宏子

東京都出身。1972年に日ソ学院(現、東京ロシア語学校)本科卒業後、モスクワ大学ロシア語教師養成セミナーで研鑽を積む。以後、映画、音楽分野で通訳、翻訳、執筆などに従事。訳書に「ソクーロフとの対話」(河出書房新社)「チェーホフが蘇る」(書肆山田)などがある。

(出版社サイトより)

商品詳細

年齢: 5・6才から
作: Y・ノルシュテイン、コズロフ
絵: F・ヤールブソワ
訳: こじま ひろこ
寸法: 31×22cm
内容: 40ページ
製作: 福音館書店
初版: 2000年10月25日

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