贈る人への気持ちを込めて
表と裏の見返しに様々な花器が並んでいるのが示すように、花の本である以上に花器の本でもあります。でも使っている花器は特別なものではなく、身近にあるものばかりなんです。コップ、正方形のタイル、ワイングラス、大きな貝殻などなど。アイデア次第で、美しく見せることができるんですね。
母の日、父の日、友達が自転車レースで勝った、友達の病気が治った、冬が終わった、ベランダに鳥が戻ってきた…私たちは、これらのイベントをどう祝ったらいいでしょう?お金のない子どもたちは?ムナーリさんは、身近な道具と花でその人への気持ちを贈ろう、と提案しています。
日本の文化に造形の深いムナーリさんですが、この本で見せる感覚は、やはり日本人とは違っています。生け花というよりは、花をきれいに飾るという感じでしょうか。でも、そこにはムナーリ的な美的センスがちりばめられていて、色んな意味で参考になりますし、刺激になります。
構想段階でのタイトルは「Ikebana」だったそうです(生誕100年記念ブルーノ・ムナーリ展目録より)。日本と縁の深かったムナーリさんならではですね。でも、そのタイトルだと「これは生け花じゃない!」なんて言われるかもしれないし、今のタイトル「一輪の花に愛を込めて」の方が、本の趣旨に合っていて正解だと思います。
(2008年6月 佐々木)









