調べるのが好きッ!

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ホームページやメルマガを担当している佐々木です。よく文章を書いてはいますが、基本的に商品やイベントの紹介など、先に「テーマありき」というのがほとんどです。

スタッフブログでは、特にテーマは決められていないので、自由に書けるのですが、逆に「何を書いたらいいのだろう?」と途方に暮れています^^;

岩波少年文庫の装丁の変遷を調べる

そこで今回は自己紹介を兼ねて、「調べるのが好き」な私の性分から生まれた記事「岩波少年文庫の装丁の歴史」のことを書きます。

古い話になりますが、岩波少年文庫が60周年を迎えた2010年の6月から、店頭で古い少年文庫や復刻版と最新の少年文庫を並べる展示をしました。

最初第2期の装丁(段ボール函入り、ハードカバー)の「家なき子」(右)と、1992年に復刊された「家なき子」。

下段の「続ガリバー旅行記」は、第2世代第3期の装丁(ボール紙函入り、函と同じデザインのハードカバー)。「あのころはフリードリヒがいた」や「長い冬」は、第3世代第4期の装丁(函なし、ソフトカバー)です。

【展示】岩波少年文庫60周年ミニ展示より

古い在庫を引っ張り出したり、柿田さん・直子さんの蔵書をお借りして、実現できた展示です(この際、装丁の変遷を自分なりに整理して「第○世代」と表記しました)。

この展示をする中で、1950年に出版された最初の5冊(「小さな牛追い」「ふたりのロッテ」「クリスマス・キャロル」「あしながおじさん」「宝島」)が今も出版され続けていることに感動し、また、同じ本が何度も装丁や訳を変えていることに驚きました。

その後、岩波書店児童編集部が、60周年を記念して作成したリーフレットが届き、なんとうれしいことに装丁の歴史をまとめたページがありました。

「おすすめブックガイド 昔も、今も、そして、これからも。」より

これを見ると、私の理解は基本的には間違っていなかったのですが、一番古いと思っていた段ボール箱入りの装丁よりもさらに古い装丁があることがわかりました。

この装丁の変遷をまとめたいと思い、各時代の本を集めました。柿田さん・直子さんの蔵書にはずいぶん助けられ、かなりの部分を押さえることができました。足りない部分は、静岡市や静岡大学の図書館で補いました。

同時に、「なぜその変更が行われたのか?」という点を調べるために、静岡大学図書館で岩波書店のPR誌「図書」を調べました。月刊なので、全てのバックナンバーを見るのはあきらめて、装丁が変わった時期の前後2年分くらいを1ページずつ細かく見ていきました。ほとんどが空振りだったのですが、オイルショックの影響でソフトカバーになる1974年10月号に貴重な記述を見つけた時は、心の中で「やった!見つけた!」と叫びました。

「図書」1974年10月号

そこには、オイルショックの影響でじりじりと児童書の値上げを続けざるを得ない状況で廉価版が求められていること、しかし、ダイジェスト化や杜撰な造本といった方法で妥協したくないという、出版人の苦渋が書かれています。そして、それと同時に「少年文庫の装幀・造本は今日までに三回変わった。」という記述がありました。

その後の1985年の変更時についても「図書」の文章を見つけることでき、それらと写真、前述したリーフレットの内容をまとめて、8月に記事を掲載しました。正直なところ、「こんな記事を書いても喜ぶ人はいないだろうなぁ〜。」と思っていました。でも、書かずにいられないのです(笑)。

どうしても見たかった最初の装丁

この時、どうしても見つけられなかったのが、最初の装丁です。図書館に問い合わせてわかったのですが、図書館の場合、新しい装丁のものが入ると、あえて古い方の装丁を取っておく理由がないので処分されてしまうとのことでした。そりゃそうですよね。利用者にとって、新しくて読みやすい方がいいですもんね。

そんなわけで、第1期の装丁については、未確認・写真なしで記事を書いたのですが、見れないとなると余計に見たくなるのが人情というもので、何か方法はないかとずっと考えていました。

ある時、この記事を読んだ百町森のお客様であるHさんから、「私の祖父が父(3兄弟)のために買いそろえた少年文庫があります」といううれしいお電話があり、ありがたいことに最初の5冊のうちの4冊を貸して頂けることになったのです!

その貴重な4冊は、まさに初版の昭和25年12月25日発行のもので、その貴重な写真は、「岩波少年文庫の装丁の歴史2(創刊時の4冊を観る)」という記事にまとめました。

「誰も喜ばないだろうなぁ」と思っていた記事でしたが、少なくともHさんには喜んでいただけたのかもしれません(というかこのような結果になって一番喜んだのは私かも)。

本の中で引用されました

5年以上たった今でも、この記事をツイートしてくださる方がいたりして、ありがたい話です。

昨年、神戸親和女子大学の笹倉先生という方から、「今度、出す本に、そちらのサイトの岩波少年文庫の記事を引用したい」という電話があり、快諾しました。ただ、引用したいのが、この装丁の歴史の部分なのか、1冊1冊の本の紹介文のことなのかが今ひとつわかっていませんでした。

2016年12月に笹倉先生の「「岩波少年文庫」のビブリオトーク」が届きました。

ページをめくると、装丁の記事がほぼ全文、5ページにわたって引用されていました。笹倉先生にも喜んでいただけたなんて、うれしく、またありがたいことです。

最初からこうなることを狙って書いた記事ではなく、ただ自分の興味のおもむくままに書きました。慌ただしい毎日ですが、年に1本くらいは、こういったマニアックな記事が書けたらいいなぁ〜と思っています。

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