遠野では、「暑い」ことを「ぬぎい」と言う。だから、遠野の蝉は、 ぬぎぃー ぬぎぃー ぬぎぃー と言って鳴いているのだそうだ。 夏の虫の虻(あぶ)や蚊は、人間にとってはうるさくて迷惑な虫である。だから人たちは、「虻・蚊はいつまで生きるべなぁ」と言う。 虻はそれに答えて、 盆まで 盆まで 盆まで と言って飛び、蚊は、 彼岸 彼岸 彼岸 と言って飛ぶのだそうだ。 昔の子どもたちは、鳴き声や羽音を真似して虫に呼びかける中で、虫の生態や季節や自然を感じとっていった。 現代人は都合の悪いものは排除してなかったもののようにしたがるが、昔の人はその存在からも何かを学んでいたようである。
露木大子(伝承/阿部ヤエ)
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